『ガマの油』
今日はこの噺です。暫く更新できないかも知れません。
【原話】
「両国八景」の一部が独立して噺として成立しました。
上方では「東の旅」の一部です。
【ストーリー】
大道商売の口上と言えば有名なのが「がまの油売り」
黒羽二重の紋付き袴姿で、さあさ、御用とお急ぎでない方はゆっくりと見ておいで、と口上が始まります。
……遥か筑波山の四六のがまだ、四六五六はどこで分かる、前足の指が四本後ろが六本……(刀を取り出して紙を切って見せる)一枚が二枚、二枚が四枚……(がまの油を塗って刃を顔に押し付ける)叩いて切れない、押して切れない、引いて切れない。と、名調子です。
結構いい商売になったので、縄のれんでちょっと一杯飲んで、今日はノリが良いからもう少し稼ごうと、酔った勢いで元の場所に店を出した。
さぁさ、ヒック、御用とお急ぎでない方は……これが遥か箱根の山の、いや箱根じゃねぇな、何処かの山だ……(刀の場面で)叩いて切れない、押して切れない、引いて、あれ、引いたら切れちゃった。慌てず、がまの油をつけると、あれれ、血が止まらない。
さて、お立ち会い、血止めはないか。
【演者】
何と言っても三代目春風亭柳好師でしょうね。
また圓生師の鮮やかな口調も忘れられません。過日浅草で、圓丈師の「新・ガマの油」を聴いたのですが、最初の口上が圓生師を思い出せてくれる口調でした。
【注目点】
三代目金馬師が若いころ三代目圓馬師について巡業していた時、ある所で、がまの油売りがいたのですが、
余りにも下手なので金馬師が変わりにやってあげたという逸話も残っています。
尤も後で圓馬師に怒られたそうです。
『能書』
志ん生師の「びんぼう自慢」によると、前座で朝太時分のこと。
東京の二ツ目という触れ込みでドサ廻りをしているとき、正月に浜松の寄席で「がまの油」を出し、これが大ウケでした。
ところが、朝の起き抜けにいきなり、宿に四,五人の男に踏み込まれ、仰天。
「やいやい、俺たちゃあな、本物のガマの油売りで、元日はばかに売れたのに、二日目からはさっぱりいけねえ。
どうも変だてえんで調べてみたら、てめえがこんなところでゴジャゴジャ言いやがったおかげで、
ガマの油はさっぱりきかねえってことになっちまったんだ。
おれたちの迷惑を、一体全体どうしてくれるんだッ」
ねじこまれて平あやまり、やっと許してもらったそうです。
『ネタ』
口上の中の「テレメンテエカ」はポルトガル語で「テレメンテエナ」と言い、テレビン油の事です。
マンテエカ について調べると、これもポルトガル語源で豚脂、つまりラードのことで、薬剤として用いられたそうです。
知らないで聴いてましたね。(^^)
今日はこの噺です。暫く更新できないかも知れません。
【原話】
「両国八景」の一部が独立して噺として成立しました。
上方では「東の旅」の一部です。
【ストーリー】
大道商売の口上と言えば有名なのが「がまの油売り」
黒羽二重の紋付き袴姿で、さあさ、御用とお急ぎでない方はゆっくりと見ておいで、と口上が始まります。
……遥か筑波山の四六のがまだ、四六五六はどこで分かる、前足の指が四本後ろが六本……(刀を取り出して紙を切って見せる)一枚が二枚、二枚が四枚……(がまの油を塗って刃を顔に押し付ける)叩いて切れない、押して切れない、引いて切れない。と、名調子です。
結構いい商売になったので、縄のれんでちょっと一杯飲んで、今日はノリが良いからもう少し稼ごうと、酔った勢いで元の場所に店を出した。
さぁさ、ヒック、御用とお急ぎでない方は……これが遥か箱根の山の、いや箱根じゃねぇな、何処かの山だ……(刀の場面で)叩いて切れない、押して切れない、引いて、あれ、引いたら切れちゃった。慌てず、がまの油をつけると、あれれ、血が止まらない。
さて、お立ち会い、血止めはないか。
【演者】
何と言っても三代目春風亭柳好師でしょうね。
また圓生師の鮮やかな口調も忘れられません。過日浅草で、圓丈師の「新・ガマの油」を聴いたのですが、最初の口上が圓生師を思い出せてくれる口調でした。
【注目点】
三代目金馬師が若いころ三代目圓馬師について巡業していた時、ある所で、がまの油売りがいたのですが、
余りにも下手なので金馬師が変わりにやってあげたという逸話も残っています。
尤も後で圓馬師に怒られたそうです。
『能書』
志ん生師の「びんぼう自慢」によると、前座で朝太時分のこと。
東京の二ツ目という触れ込みでドサ廻りをしているとき、正月に浜松の寄席で「がまの油」を出し、これが大ウケでした。
ところが、朝の起き抜けにいきなり、宿に四,五人の男に踏み込まれ、仰天。
「やいやい、俺たちゃあな、本物のガマの油売りで、元日はばかに売れたのに、二日目からはさっぱりいけねえ。
どうも変だてえんで調べてみたら、てめえがこんなところでゴジャゴジャ言いやがったおかげで、
ガマの油はさっぱりきかねえってことになっちまったんだ。
おれたちの迷惑を、一体全体どうしてくれるんだッ」
ねじこまれて平あやまり、やっと許してもらったそうです。
『ネタ』
口上の中の「テレメンテエカ」はポルトガル語で「テレメンテエナ」と言い、テレビン油の事です。
マンテエカ について調べると、これもポルトガル語源で豚脂、つまりラードのことで、薬剤として用いられたそうです。
知らないで聴いてましたね。(^^)