今日は昨日のRAKUGO1さんのコメントからインスパイヤーされて「夢の酒」です。
これはもう、昔は文楽師匠にとどめをさす噺でした。
この噺に出て来る二人の女性(女中さんはのぞく)の描き分けがキモですねえ。
普通の商家の若女将さんとどう見ても玄人筋の御新造さんとは違いますからねえ。
同じように色っぽく描いていると噺が混乱しますね。
今は入船亭の一門や柳家一門を始め多くの噺家さんが高座に掛けています。
あらすじは簡単に書くと、若旦那が女と逢った夢を見たと、嫁が嫉妬して大喧嘩。
仲裁に入った大旦那に「夢でその女に意見してくれ」と言われ昼寝をする。
そして大旦那は淡島様の口上を唱えて夢の中に入っていくが・・・
サゲも噺の展開も落語ならではの噺ですね。
なりたちを書きますと、
古くからあった人情噺「雪の瀬川」(松葉屋瀬川)が、
「橋場の雪」(別題「夢の瀬川」)として落し噺化され、
それを初代(鼻の)三遊亭円遊師が現行のサゲに直し、
「隅田(すだ)の夕立」「夢の後家」の二通りに改作されました。
後者は、明治24年12月、「百花園」掲載の速記があります。
このうち「隅田の夕立」の方は円遊師が、夢の舞台を
向島の雪から大川の雨に代え、より笑いを多く
したものと見られます。
「橋場の雪」は三代目柳家小さん師の、明治29年の
速記がありますが、円遊師の時点で「改作の改作の改作」となり
ややっこしいかぎりです。
で、もう一つの「改作の改作の改作」の「夢の後家」の方を、
八代目桂文楽師が昭和10年前後に手を加え、
「夢の酒」として磨き上げました。
それまでは文楽師は「夢の瀬川(橋場の雪)」を演っていましたそうです。
今となってはこちらも聴いて見たかったですね。
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