『三味線栗毛』
今日はこの噺です。
『原話』『演者』
原話は不詳で、講釈種と思われます。
円朝師から、四代目円喬師と二代目小円朝に伝承されそれを継いだ戦後の三代目小円朝師や五代目志ん生、二代目円歌師らがよく演じていました。
小圓朝師のは結構良かったですね。
最近では菊之丞師やあのブラック師も演じています。
また、最近は「錦木検校」という別バージョンも喬太郎師などで演じられていますね。
『ストーリー』
父親の大名・酒井雅楽頭(ウタノカミ)に疎まれ、下屋敷で家臣同然の暮らしをしている次男坊の酒井角三郎。彼の下へ療治に呼ばれたのか按摩の錦木。何度か療治に訪れているうちに、角三郎の良き話相手となりますが、その錦木が
「あなたは、侍なら大名になると学者から聞いた骨格をしていらっしゃいますが、殿様の御身内ですか?御家中ですか?」
と訊きます。角三郎は
「家中だ」
と嘘をついたものの
「もし、自分が大名になるような事が起きたら、錦木を検校に取り立ててやろう」
と約束します。
それから間もなく、錦木は風邪をこじらせ、生死の境をさまようほど長く寝込んでしまい、療治に出られなくなります。
何とか病から立ち直った日、同じ長屋の住人が錦木にこう告げます。
「あの下屋敷の酒井の若さまが、おやじが隠居、兄貴の与五郎が病身とあって、思いがけなく家を継ぐことになった」
という話を聞き、飛び上がって布団から跳ね出します。
早速、今は酒井雅楽頭となって上屋敷に移った角三郎のところに駆けつけます。
「錦木か、懐かしいな。武士に二言はないぞ」
と、約束通り検校にしてくれました。
出世した錦木がある日、御殿様の下に御機嫌伺いに参上すると、雅楽頭は
「新たに栗毛の馬を買い、“三味線”と名をつけた。余は酒井雅楽頭である。雅楽(ウタ)が乗るから“三味線じゃ”」
と洒落ます。錦木は
「殿様が乗りますので“三味線”。して、その御馬に御家来衆が乗りますと?」、
雅楽頭
「バチ(撥)があたる」
【注目点】
一応これが基本のあらすじですね。
最近は錦木が亡くなってしまったり、約束は戯言だ、と言って雅楽頭の処に行かない演出等がありますが、
私はあざとい演出だと思います。
この噺は力量のある噺家がちゃんとやればかなりの良い噺なのですが、
かなりの数の評論家や落語通から「納得の行く演出を聴いた事がない」
と言われている噺ですが、かの名人の名を欲しいままにした圓喬師は、
角三郎酒井雅楽頭が任官したと聞いて、病み衰えた錦木が病床でサメザメと嬉し泣きすることにあり、
それが観客をも泣かせたという事です。
そこまで感動的なのを聴いてみたいですね。
『能書』
講談と落語の大きな違いは落語は普通の人々を描いている処ですね。
ですから、この錦木も出世欲はあると思いますが、あからさまにするのでは、噺がぶち壊しですし、程度の問題ですね。この辺の演出で感動するか否かが決まるのでは無いでしょうか
『ネタ』
酒井雅楽頭は、譜代の名門中の名門、酒井家の本家で、上野・前橋十二万五千石→播州・姫路十五万石となりまして、大老も出しています。
酒井家の上屋敷は丸の内・大手御門前にありまして、下屋敷は、旧駒込曙町で、現・文京区本駒込一、二丁目でした。
今日はこの噺です。
『原話』『演者』
原話は不詳で、講釈種と思われます。
円朝師から、四代目円喬師と二代目小円朝に伝承されそれを継いだ戦後の三代目小円朝師や五代目志ん生、二代目円歌師らがよく演じていました。
小圓朝師のは結構良かったですね。
最近では菊之丞師やあのブラック師も演じています。
また、最近は「錦木検校」という別バージョンも喬太郎師などで演じられていますね。
『ストーリー』
父親の大名・酒井雅楽頭(ウタノカミ)に疎まれ、下屋敷で家臣同然の暮らしをしている次男坊の酒井角三郎。彼の下へ療治に呼ばれたのか按摩の錦木。何度か療治に訪れているうちに、角三郎の良き話相手となりますが、その錦木が
「あなたは、侍なら大名になると学者から聞いた骨格をしていらっしゃいますが、殿様の御身内ですか?御家中ですか?」
と訊きます。角三郎は
「家中だ」
と嘘をついたものの
「もし、自分が大名になるような事が起きたら、錦木を検校に取り立ててやろう」
と約束します。
それから間もなく、錦木は風邪をこじらせ、生死の境をさまようほど長く寝込んでしまい、療治に出られなくなります。
何とか病から立ち直った日、同じ長屋の住人が錦木にこう告げます。
「あの下屋敷の酒井の若さまが、おやじが隠居、兄貴の与五郎が病身とあって、思いがけなく家を継ぐことになった」
という話を聞き、飛び上がって布団から跳ね出します。
早速、今は酒井雅楽頭となって上屋敷に移った角三郎のところに駆けつけます。
「錦木か、懐かしいな。武士に二言はないぞ」
と、約束通り検校にしてくれました。
出世した錦木がある日、御殿様の下に御機嫌伺いに参上すると、雅楽頭は
「新たに栗毛の馬を買い、“三味線”と名をつけた。余は酒井雅楽頭である。雅楽(ウタ)が乗るから“三味線じゃ”」
と洒落ます。錦木は
「殿様が乗りますので“三味線”。して、その御馬に御家来衆が乗りますと?」、
雅楽頭
「バチ(撥)があたる」
【注目点】
一応これが基本のあらすじですね。
最近は錦木が亡くなってしまったり、約束は戯言だ、と言って雅楽頭の処に行かない演出等がありますが、
私はあざとい演出だと思います。
この噺は力量のある噺家がちゃんとやればかなりの良い噺なのですが、
かなりの数の評論家や落語通から「納得の行く演出を聴いた事がない」
と言われている噺ですが、かの名人の名を欲しいままにした圓喬師は、
角三郎酒井雅楽頭が任官したと聞いて、病み衰えた錦木が病床でサメザメと嬉し泣きすることにあり、
それが観客をも泣かせたという事です。
そこまで感動的なのを聴いてみたいですね。
『能書』
講談と落語の大きな違いは落語は普通の人々を描いている処ですね。
ですから、この錦木も出世欲はあると思いますが、あからさまにするのでは、噺がぶち壊しですし、程度の問題ですね。この辺の演出で感動するか否かが決まるのでは無いでしょうか
『ネタ』
酒井雅楽頭は、譜代の名門中の名門、酒井家の本家で、上野・前橋十二万五千石→播州・姫路十五万石となりまして、大老も出しています。
酒井家の上屋敷は丸の内・大手御門前にありまして、下屋敷は、旧駒込曙町で、現・文京区本駒込一、二丁目でした。
やはり二代目・三遊亭円歌師も演じていたのですね。
私は最初に雑誌「落語界」(深川書房)に三代目・三遊亭小圓朝師演が載っているのを読み、五代目・古今亭志ん生師演を「志ん生人情ばなし」(立風書房)読みました。
三代目・三遊亭圓歌師が演じたという記録を「落語界」で見た時は「おや?この人も。」と思ったのですが、それから間もなくNHK東京落語会(イイノホール)にてナマで三笑亭笑三師演を聴く機会に恵まれました。
笑三師は新作落語のイメージが強いのですが、その一方で「さんま芝居」「悋気の火の玉」「死神」という古典落語を演じ敵対心落語家さんですね。
実際聴くと角太郎、錦木は師独自のデフォルメで描かれてましたが、角太郎が酒井家の跡取りなったという噂を錦木に伝える長屋の住人は師の持ち味からしてイマイチしっくり来なかった感がありますね。
三代目・圓歌師、笑三師が演じたとなると両師に伝えたのは二人の師匠の二代目・円歌師かな?とは何となく思ってたのですがね。
hajime
がしました