82d5987f『夏泥』
 東京では明日13日からお盆(盂蘭盆会)です。その間は記事を更新しませんので今日更新しておきます。申し訳ありませんが、コメントの返事も少し遅れるかも知れません。
別名「置泥」とも言います。

【原話】
1776年の「気の薬」に「貧乏者」という噺がありこれが大元だと思われます。
1807年の喜久亭壽曉のネタ帳「滑稽集」に「夏どろぼう」とあります。また、上方では『打飼盗人』と言う噺になります。

【ストーリー】
夜中に、まぬけなこそ泥が長屋のきたない家に忍び込む。中で寝ていた男に金を出せと脅すが男は一向に動じない。
あいくちで脅すと、「さあ殺せ」という。男は大工で道具箱を質に入れてしまって仕事に出られず、生きていてもしょうがないから殺してくれという。
こそ泥は質料2円を男に渡し、道具箱を受け出し仕事に行けという。大した泥棒じゃないと見破った男は利息が3円ついているといいまた金をせびる。そして、着物の質料3円、食い物代も1円せしめる。
あげくの果てに家賃が5つ分溜まっていて払えないから殺してくれという始末だ。
仕方なく泥棒は残りの持ち金の11円まで男に巻き上げられてしまう。
すっからかんになった泥棒が帰ろうとすると男が呼び止める。
泥棒 「ふざけんな、この野郎。まだなんか用か」
男 「すまねえ、季節の変り目にまた来てくんねえ」
ここを「晦日に来てくんねえ」と下げる場合もあります。

【演者】
やはり五代目小さん師が一番ですねえ。柳家の噺家さん達を始め広く演じられています。
若手では橘家文左蔵さんの評価が高いですね。

【注目点】
柳家小さん(五代目)は、煙草入れを忘れていった泥棒を男が追いかけて行って返そうとするところでサゲています。こちらの男のほうが少しは良心的?かもしれません。

『能書』
そここそこ金を持ってると言うのはちゃんと仕事もできる泥棒なんですね。
この場合は男のほうが一枚上手なのか、泥棒がお人好しなのかですね。

『ネタ』
三代目小圓朝師は「この噺は特に目の使い方が難しい」と語っていたそうです。