『穴どろ』
今年も明日から師走12月です。早いものですね。という訳で今日は暮れの噺でもあるこの噺です。
【原話】
原話は、嘉永年間(1848年~1854年)に出版された笑話本・「今年はなし」の一遍である『どろ棒』です。
上方だと「子盗人」というタイトルですね。
【ストーリー】
三両の金策がつかないある男。家に帰ると、女房から「豆腐の角に頭をぶっつけて死んでおしまい」と、ののられます。
頭に来て家を飛び出しますが、あてはありません。
立派な蔵が有る商家の庭先に出ました。奉公人達がそろって遊びに出かけた様ですが、裏木戸がバタンバタンしているので、教えてあげようと庭先に入り、部屋うちを覗くと宴会の後と見えて料理が沢山残っていいます。
「こんにちは」と言いながら上がり込んで、冷や酒や残りの料理に手を付け始めた。朝から何も食べていなかったので、気持ちよく食べ飲んだ。ここで、この家の人に見つかったらなんて言おうかとか、やな女だが嫁に来たてはいい女であったとか一人酒をしているまに酔ってしまった。
やっと一人歩きができる程の子供が顔を見せた。あやしながら後ずさりをしていると、踏み板がずれていたので、穴蔵に落ちてしまった。「だれだ〜、俺を突き落としたのは、何を盗んだ〜」、大きな声でわめいていたので主人が出てきて、事の一件を悟って、泥棒だからと頭 (かしら)を呼びに行かせる。あいにく頭は出かけて居ず、留守番の”亀さん”が駆けつけてくれた。
あっしの背中はこっちが上り龍でこっちが下り龍、泥棒なんか怖くはないし、ふんじばって叩き出しちゃう。頼もしそうな亀さんではある。子供のお祝いの日だから縄付きは出したくない。お前さんが中に入って泥棒を抱き上げて欲しいと頼みます。
ところがナンだカンだと言って中々降りていきません。
旦那はしびれを切らして、一両上げるからと言い出します。
それでも中々降りないので、金額が二両に上がります。
じゃあと言うのですが、喉首に食らいつくと言われて又々おじけづきます。
とうとう旦那は「じゃ三両出す」と言い出します。
それを聴いた男は「三両ならこちらで上がって行く」
【演者】
何と言っても文楽、志ん生師の高座が良いですね。
個人的には八代目圓蔵師でよく聴きました。
また三代目柳好師も晩年に演じました。(亡くなる前)
今でも寄席でもたまに聴くことが出来ます。
【注目点】
現在の型は初代三遊亭圓右師や初代柳家三語楼師のものだそうです。
『能書』
「穴庫」というものが登場したのは、1656年(明暦2年)に日本橋本町の商家に作られたのが最初だそうです。
ですのでこの噺の舞台は日本橋界隈ということになりますね。
『ネタ』
昔は、たいした事が無けれは、お上には通報しなかったそうですね。
自分達で始末していた様です。こんな未遂でも当時でも立派な犯罪になりました。
今でも不法侵入ですがね。
今年も明日から師走12月です。早いものですね。という訳で今日は暮れの噺でもあるこの噺です。
【原話】
原話は、嘉永年間(1848年~1854年)に出版された笑話本・「今年はなし」の一遍である『どろ棒』です。
上方だと「子盗人」というタイトルですね。
【ストーリー】
三両の金策がつかないある男。家に帰ると、女房から「豆腐の角に頭をぶっつけて死んでおしまい」と、ののられます。
頭に来て家を飛び出しますが、あてはありません。
立派な蔵が有る商家の庭先に出ました。奉公人達がそろって遊びに出かけた様ですが、裏木戸がバタンバタンしているので、教えてあげようと庭先に入り、部屋うちを覗くと宴会の後と見えて料理が沢山残っていいます。
「こんにちは」と言いながら上がり込んで、冷や酒や残りの料理に手を付け始めた。朝から何も食べていなかったので、気持ちよく食べ飲んだ。ここで、この家の人に見つかったらなんて言おうかとか、やな女だが嫁に来たてはいい女であったとか一人酒をしているまに酔ってしまった。
やっと一人歩きができる程の子供が顔を見せた。あやしながら後ずさりをしていると、踏み板がずれていたので、穴蔵に落ちてしまった。「だれだ〜、俺を突き落としたのは、何を盗んだ〜」、大きな声でわめいていたので主人が出てきて、事の一件を悟って、泥棒だからと頭 (かしら)を呼びに行かせる。あいにく頭は出かけて居ず、留守番の”亀さん”が駆けつけてくれた。
あっしの背中はこっちが上り龍でこっちが下り龍、泥棒なんか怖くはないし、ふんじばって叩き出しちゃう。頼もしそうな亀さんではある。子供のお祝いの日だから縄付きは出したくない。お前さんが中に入って泥棒を抱き上げて欲しいと頼みます。
ところがナンだカンだと言って中々降りていきません。
旦那はしびれを切らして、一両上げるからと言い出します。
それでも中々降りないので、金額が二両に上がります。
じゃあと言うのですが、喉首に食らいつくと言われて又々おじけづきます。
とうとう旦那は「じゃ三両出す」と言い出します。
それを聴いた男は「三両ならこちらで上がって行く」
【演者】
何と言っても文楽、志ん生師の高座が良いですね。
個人的には八代目圓蔵師でよく聴きました。
また三代目柳好師も晩年に演じました。(亡くなる前)
今でも寄席でもたまに聴くことが出来ます。
【注目点】
現在の型は初代三遊亭圓右師や初代柳家三語楼師のものだそうです。
『能書』
「穴庫」というものが登場したのは、1656年(明暦2年)に日本橋本町の商家に作られたのが最初だそうです。
ですのでこの噺の舞台は日本橋界隈ということになりますね。
『ネタ』
昔は、たいした事が無けれは、お上には通報しなかったそうですね。
自分達で始末していた様です。こんな未遂でも当時でも立派な犯罪になりました。
今でも不法侵入ですがね。