『ちりとてちん』
今日は、この噺です。「酢豆腐」ではなくこちらを取り上げるのは初めてだと思います。
『原話』
江戸落語の「酢豆腐」が、大正のはじめ頃に柳家小はん師が大阪に活動を移した時に伝えられ「ちりとてちん」となりました。
『演者』
上方では多くの演者が演じています。東京では主に柳家の噺家さんが演じています。基本的に古今亭、三遊亭、桂、は「酢豆腐」を演じますが、最近は芸協の会長である春風亭昇太師が演じる影響か、芸協の桂派は「ちりとてちん」を演じる傾向があるようです。
『ストーリー』
旦那の誕生日に近所に住む男がお祝いに訪ねてきます。男は旦那を喜ばせようと世辞を言い続けます。日本酒が出されれば
「生まれて初めて頂戴いたします!」
と喜んで口をつけ、一口飲めば
「こんな美味しいお酒は生まれて初めてです!」
と大袈裟に喜んで旦那を喜ばせます。
こんな調子で鯛の刺身、茶碗蒸し果ては白飯に至るまで、とにかく出された物に
「生まれて初めて食べます!」
「初物を食べたら七十五日寿命が延びます!」
と徹底して世辞を言って旦那を喜ばせます。
暫くすると裏に住む竹という男の話になり、旦那は
「竹はあんたと違って何を食べさしても礼も言わなければ感謝する素振りもない」
と愚痴を言います。
そこで、竹は何事も知ったかぶりをして人を小馬鹿にしたような態度をとるため、旦那は誕生日の趣向として竹を懲らしめる計画を考えます。ちょうどそこへ女中が水屋で腐った豆腐を持ってきます。
その時に隣の稽古屋の三味線の音が「ちりとてちん」と聞こえてきたことから、この腐った豆腐を「元祖 長崎名産ちりとてちん」として竹に食わせるという相談がまとまります。
何も知らない竹は旦那に呼び出されて旦那宅にやってきますが、旦那が用意した酒や料理に
「しょーもない」
と文句を言い旦那を不機嫌にさせます。
そこで旦那は女中に声をかけて、例のモノを用意させ、竹の目の前に差し出します。旦那は
「貰い物だが何でも長崎名物『ちりとてちん』というものらしいのだがが竹さんなら知っているかな」
そう言うと竹は「長崎名産 ちりとてちん」はもちろん知っているとウソをつき、
「旦那のちりとてちんの発音が悪い」とか
「珍味なのでたくさん食べるモノではない」
などと知ったかぶりを続け、「ちりとてちん」を一口食べます。
一口食べてあまりの臭いと不味さに見悶えながらも
「旨い!」
と涙目になりながら「ちりとてちん」を褒めます。
旦那は笑いをこらえながら竹に聞きます。
「竹、私はちりとてちんを食べたことはないのやが、一体どんな味や?」
すると竹は涙目になりながら返答します。
「ちょうど豆腐の腐ったような味です」
『能書』
「酢豆腐」と違い最初から半可通の竹さんをからかってやろうという趣向で噺が進んで行きます。だから若旦那は登場しません。基本的に似てるが「酢豆腐」とは別な噺と考えて置いたほうが良いと思います。
『ネタ』
昇太師は落語協会の柳家花緑師から稽古をつけて貰ったそうです。
「蛇足」
個人的にですが私は「酢豆腐」の方が好きですね(笑)
今日は、この噺です。「酢豆腐」ではなくこちらを取り上げるのは初めてだと思います。
『原話』
江戸落語の「酢豆腐」が、大正のはじめ頃に柳家小はん師が大阪に活動を移した時に伝えられ「ちりとてちん」となりました。
『演者』
上方では多くの演者が演じています。東京では主に柳家の噺家さんが演じています。基本的に古今亭、三遊亭、桂、は「酢豆腐」を演じますが、最近は芸協の会長である春風亭昇太師が演じる影響か、芸協の桂派は「ちりとてちん」を演じる傾向があるようです。
『ストーリー』
旦那の誕生日に近所に住む男がお祝いに訪ねてきます。男は旦那を喜ばせようと世辞を言い続けます。日本酒が出されれば
「生まれて初めて頂戴いたします!」
と喜んで口をつけ、一口飲めば
「こんな美味しいお酒は生まれて初めてです!」
と大袈裟に喜んで旦那を喜ばせます。
こんな調子で鯛の刺身、茶碗蒸し果ては白飯に至るまで、とにかく出された物に
「生まれて初めて食べます!」
「初物を食べたら七十五日寿命が延びます!」
と徹底して世辞を言って旦那を喜ばせます。
暫くすると裏に住む竹という男の話になり、旦那は
「竹はあんたと違って何を食べさしても礼も言わなければ感謝する素振りもない」
と愚痴を言います。
そこで、竹は何事も知ったかぶりをして人を小馬鹿にしたような態度をとるため、旦那は誕生日の趣向として竹を懲らしめる計画を考えます。ちょうどそこへ女中が水屋で腐った豆腐を持ってきます。
その時に隣の稽古屋の三味線の音が「ちりとてちん」と聞こえてきたことから、この腐った豆腐を「元祖 長崎名産ちりとてちん」として竹に食わせるという相談がまとまります。
何も知らない竹は旦那に呼び出されて旦那宅にやってきますが、旦那が用意した酒や料理に
「しょーもない」
と文句を言い旦那を不機嫌にさせます。
そこで旦那は女中に声をかけて、例のモノを用意させ、竹の目の前に差し出します。旦那は
「貰い物だが何でも長崎名物『ちりとてちん』というものらしいのだがが竹さんなら知っているかな」
そう言うと竹は「長崎名産 ちりとてちん」はもちろん知っているとウソをつき、
「旦那のちりとてちんの発音が悪い」とか
「珍味なのでたくさん食べるモノではない」
などと知ったかぶりを続け、「ちりとてちん」を一口食べます。
一口食べてあまりの臭いと不味さに見悶えながらも
「旨い!」
と涙目になりながら「ちりとてちん」を褒めます。
旦那は笑いをこらえながら竹に聞きます。
「竹、私はちりとてちんを食べたことはないのやが、一体どんな味や?」
すると竹は涙目になりながら返答します。
「ちょうど豆腐の腐ったような味です」
『能書』
「酢豆腐」と違い最初から半可通の竹さんをからかってやろうという趣向で噺が進んで行きます。だから若旦那は登場しません。基本的に似てるが「酢豆腐」とは別な噺と考えて置いたほうが良いと思います。
『ネタ』
昇太師は落語協会の柳家花緑師から稽古をつけて貰ったそうです。
「蛇足」
個人的にですが私は「酢豆腐」の方が好きですね(笑)