『親子酒』
今日は寄席でも良く掛かるこの噺です。
【原話】
1773年の「坐笑産」の「親子生酔」が原話とされています。
また1807年の喜久亭壽暁のネタ帳「滑稽集」に「おやじむすこ生酔 廻る家ヲ何ニする者」とあるそうです。
【ストーリー】
ある商家に、共に酒好きな大旦那と若旦那の親子が居ました。
息子の酒癖が非常に悪いということで、父親である大旦那が心配し、「お前だけに酒を止めろとは言わない。共に禁酒をしよう」と話をします。
息子も承知し、しばらくは何事もなかったのですが、2週間ほど経つと、他に楽しみのない大旦那は酒が恋しくて仕方がなくなります。
息子が出かけていたある晩、女房に何とか頼み込み、遂に酒に手を出してしまのですが、
ホンの一杯のつもりが、 したたかに酔い、気分も良くなっているところへ、息子が帰ってきます。
さあ大変。慌てて場を取り繕い、父親は「酔っている姿など見せない」と、息子を迎えるのですが、帰ってきた息子も同様にしたたかに酔っている有様で、呆れた父親が
「何故酔っているんだ」
と問うと、出入り先の旦那に相手をさせられたと言い、
「酒は止められませんね」
などと言います。父親は怒り、女房に向かい、
「婆さん、こいつの顔はさっきからいくつにも見える。こんな化け物に身代は渡せない」
すると息子は、
「俺だって、こんなぐるぐる回る家貰ったってしょうがねえ」
【演者】
明治のころは三遊亭圓朝師もやったそうです。その後は志ん生師や文楽師圓生師また小さん師など昭和の名人が演じました。今でも寄席で多く演じられています。
【注目点】
この噺の眼目はやはり飲む仕草でしょうね。
それから親父さんが段々酔っ払って、口調が怪しくなる処とか、肴の烏賊の塩辛を美味しそうに食べる処何んかも見所ですね。
今では芸協の寿輔師がよく演じています。
『能書』
アルコール飲料のとりすぎによる病的症状は「急性酩酊」と呼び、アルコール依存症とは区別されるそうです。
『ネタ』
五代目小さん師は「この親子はお互いを認め合っていて息子は父親を尊敬しているし、父親は愛情を持って息子に接している。そのあたりをちゃんと演じて出さないと駄目」と語っていたそうです。
また息子の方は「家などいらない」と欲のないことを言っているので独身と考えたそうです。妻帯者なら欲が出るとの考えだそうです。
※今回からイラストや写真をやめてみました。苦肉の策で自分で演目のタイトルを書いてみました。
感想などあればお願いします。
このブログもあちこちで取り上げられる事が増えて来まして著作権のある画像を使うのは好ましくないと考えるに至った次第です。
今日は寄席でも良く掛かるこの噺です。
【原話】
1773年の「坐笑産」の「親子生酔」が原話とされています。
また1807年の喜久亭壽暁のネタ帳「滑稽集」に「おやじむすこ生酔 廻る家ヲ何ニする者」とあるそうです。
【ストーリー】
ある商家に、共に酒好きな大旦那と若旦那の親子が居ました。
息子の酒癖が非常に悪いということで、父親である大旦那が心配し、「お前だけに酒を止めろとは言わない。共に禁酒をしよう」と話をします。
息子も承知し、しばらくは何事もなかったのですが、2週間ほど経つと、他に楽しみのない大旦那は酒が恋しくて仕方がなくなります。
息子が出かけていたある晩、女房に何とか頼み込み、遂に酒に手を出してしまのですが、
ホンの一杯のつもりが、 したたかに酔い、気分も良くなっているところへ、息子が帰ってきます。
さあ大変。慌てて場を取り繕い、父親は「酔っている姿など見せない」と、息子を迎えるのですが、帰ってきた息子も同様にしたたかに酔っている有様で、呆れた父親が
「何故酔っているんだ」
と問うと、出入り先の旦那に相手をさせられたと言い、
「酒は止められませんね」
などと言います。父親は怒り、女房に向かい、
「婆さん、こいつの顔はさっきからいくつにも見える。こんな化け物に身代は渡せない」
すると息子は、
「俺だって、こんなぐるぐる回る家貰ったってしょうがねえ」
【演者】
明治のころは三遊亭圓朝師もやったそうです。その後は志ん生師や文楽師圓生師また小さん師など昭和の名人が演じました。今でも寄席で多く演じられています。
【注目点】
この噺の眼目はやはり飲む仕草でしょうね。
それから親父さんが段々酔っ払って、口調が怪しくなる処とか、肴の烏賊の塩辛を美味しそうに食べる処何んかも見所ですね。
今では芸協の寿輔師がよく演じています。
『能書』
アルコール飲料のとりすぎによる病的症状は「急性酩酊」と呼び、アルコール依存症とは区別されるそうです。
『ネタ』
五代目小さん師は「この親子はお互いを認め合っていて息子は父親を尊敬しているし、父親は愛情を持って息子に接している。そのあたりをちゃんと演じて出さないと駄目」と語っていたそうです。
また息子の方は「家などいらない」と欲のないことを言っているので独身と考えたそうです。妻帯者なら欲が出るとの考えだそうです。
※今回からイラストや写真をやめてみました。苦肉の策で自分で演目のタイトルを書いてみました。
感想などあればお願いします。
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