皆様、あけましておめでとうございます! 本年もよろしくお願い申し上げます。
『羽団扇』
という訳でお正月らしいこの噺です。
『原話』
元々は上方落語で、かなり早い時期から江戸に移植されていたそうですが、速記は明治22年に大阪で五代翁家さん馬(桂正吉)が高座に掛けているそうです。(立花さんより)
春風亭楓枝(後の四代桂歌六)や春錦亭柳桜(後の五代麗々亭柳橋)の速記や大阪での高座の記録も残っているそうです。
この噺の前半が独立したのが「天狗裁き」と言われています。
また一説には江戸落語で長編の「羽団扇」という噺があり、これが上方に移り今の形になったという説もあります。でも今の形は米朝師が復活させたという説もあるので、これも少し考察が必要だと思います。
【ストーリー】
年始回りをして、ほろ酔いで帰ってきた八五郎。腹もキツいので寝るといいます。
「お宝が枕の下に敷いてあるから、良い初夢を見てねと、見たら話し合おうね」
との女房の言葉を背に寝付来ました。
女房は、寝言や笑い顔があったので起こして聞くと、
「見ていなかった」
と言います。
「寝言を言っていたから夢を見ていたはず!」
と言う事を聞きません。そこから
「夢を見たんだろ?」
「見てないって言っているだろ!」
と言い合いになってしまい、かっとなった八五郎はついかみさんに手を上げてしまいます。仲裁人にお前は誰だ、と逆襲。それではこうしてくれると、襟首掴んで真っ暗な表に引きづられ、空中高く放り上げられます。気がつたら、なんと鞍馬山でした。
木の上に天狗が居て
「ワシが連れてきた」
と言います。天狗は
「羽で飛ぶのは前座で、真打はこの様に羽団扇で飛び、貴様の家の前を通ると夢の話で喧嘩をしていたから、ここに連れてきた。女房にも言えない面白い夢を見たようだから、誰も居ないここでしゃべらせようとした。しゃべったらここから帰れとか、しゃべらなかったら、八つ裂きだ」
と脅します。
仕方がないので、では話をしましょうと、でたらめな花火の話を語り出しましたが、講釈師でも落語家でも話をする時は扇子を持っている。だから、その羽団扇を貸してくれと、強引に取り上げます。話に夢中になっているように見せかけて、羽団扇を動かすと身体が浮いて、天狗が制止するのも聞かず、扇ぎ続けると、森の上を飛んでいたと思ったが、大海原のど真ん中だった。手元が狂って落ちてしまいます。
ところが運の良いことに落ちたのが宝船の上。宝船の絵を敷いて寝ていたせいなのか。
恵比寿様の鯛を肴に弁天様のお酌で酒を飲んで良い心持になっていると、女房に起されます。
楽しそうな様子で夢を見ている旦那にどんな夢を見たのか聞きただす女房。ことの一部始終を話す旦那。少しやきもちをやく女房だったが、寝覚めの一服を旦那に差し出した。
女房に宝船には、どんな神様がのっていたのかを聞かれた旦那は
「勿論、七福神に決まっている」
と、名前をあげて数えたが、どうしても一人足り無い。よく考えて見ると、
起きたときに一服(一福)呑んじゃった。
『演者』
古くは二代目円歌師の音源が残っています。志ん生師も得意にしていました。上方では米朝師ですかね。また談志師や十代目馬生師もも演じていました。
現在の演出は、上方の三代目桂米朝が発掘・再構成し復活させたものとも言われています。
【注目点】
他の筋では、娘を助けてそこの家の婿になるという展開もあります。
「ネタ」
正月の2日になると七福神の刷り物を「おたから、お宝」と売りに来た。それを枕の下に敷いて寝ると吉夢(初夢)が見られると言われていました。
『羽団扇』
という訳でお正月らしいこの噺です。
『原話』
元々は上方落語で、かなり早い時期から江戸に移植されていたそうですが、速記は明治22年に大阪で五代翁家さん馬(桂正吉)が高座に掛けているそうです。(立花さんより)
春風亭楓枝(後の四代桂歌六)や春錦亭柳桜(後の五代麗々亭柳橋)の速記や大阪での高座の記録も残っているそうです。
この噺の前半が独立したのが「天狗裁き」と言われています。
また一説には江戸落語で長編の「羽団扇」という噺があり、これが上方に移り今の形になったという説もあります。でも今の形は米朝師が復活させたという説もあるので、これも少し考察が必要だと思います。
【ストーリー】
年始回りをして、ほろ酔いで帰ってきた八五郎。腹もキツいので寝るといいます。
「お宝が枕の下に敷いてあるから、良い初夢を見てねと、見たら話し合おうね」
との女房の言葉を背に寝付来ました。
女房は、寝言や笑い顔があったので起こして聞くと、
「見ていなかった」
と言います。
「寝言を言っていたから夢を見ていたはず!」
と言う事を聞きません。そこから
「夢を見たんだろ?」
「見てないって言っているだろ!」
と言い合いになってしまい、かっとなった八五郎はついかみさんに手を上げてしまいます。仲裁人にお前は誰だ、と逆襲。それではこうしてくれると、襟首掴んで真っ暗な表に引きづられ、空中高く放り上げられます。気がつたら、なんと鞍馬山でした。
木の上に天狗が居て
「ワシが連れてきた」
と言います。天狗は
「羽で飛ぶのは前座で、真打はこの様に羽団扇で飛び、貴様の家の前を通ると夢の話で喧嘩をしていたから、ここに連れてきた。女房にも言えない面白い夢を見たようだから、誰も居ないここでしゃべらせようとした。しゃべったらここから帰れとか、しゃべらなかったら、八つ裂きだ」
と脅します。
仕方がないので、では話をしましょうと、でたらめな花火の話を語り出しましたが、講釈師でも落語家でも話をする時は扇子を持っている。だから、その羽団扇を貸してくれと、強引に取り上げます。話に夢中になっているように見せかけて、羽団扇を動かすと身体が浮いて、天狗が制止するのも聞かず、扇ぎ続けると、森の上を飛んでいたと思ったが、大海原のど真ん中だった。手元が狂って落ちてしまいます。
ところが運の良いことに落ちたのが宝船の上。宝船の絵を敷いて寝ていたせいなのか。
恵比寿様の鯛を肴に弁天様のお酌で酒を飲んで良い心持になっていると、女房に起されます。
楽しそうな様子で夢を見ている旦那にどんな夢を見たのか聞きただす女房。ことの一部始終を話す旦那。少しやきもちをやく女房だったが、寝覚めの一服を旦那に差し出した。
女房に宝船には、どんな神様がのっていたのかを聞かれた旦那は
「勿論、七福神に決まっている」
と、名前をあげて数えたが、どうしても一人足り無い。よく考えて見ると、
起きたときに一服(一福)呑んじゃった。
『演者』
古くは二代目円歌師の音源が残っています。志ん生師も得意にしていました。上方では米朝師ですかね。また談志師や十代目馬生師もも演じていました。
現在の演出は、上方の三代目桂米朝が発掘・再構成し復活させたものとも言われています。
【注目点】
他の筋では、娘を助けてそこの家の婿になるという展開もあります。
「ネタ」
正月の2日になると七福神の刷り物を「おたから、お宝」と売りに来た。それを枕の下に敷いて寝ると吉夢(初夢)が見られると言われていました。