123623739439716404272今日は、「うどん屋」を例に上げて、寄席の落語について語ってみたいと思います。

寄席と落語会等と一番違うのが演者の持ち時間で、落語会では一人あたりの時間も長く、きちんと決まっています。
演者はその時間に合わせて、噺を演じますが、あらかじめ演題を出している場合がほとんどなので、
それにあった時間と言う事になりますね。

そこへ行くと寄席はスケで浅草や末広亭だと15分前後で時間が押してればさらに縮みます。
それに加えて当日まで演題が決められない事が多いですね。
最近はトリの噺家さんが10日間演題を公表する場合もありますが、特殊ですね。

ですので短い噺や、途中で切る事が多いですね。いわゆる「冗談落ち」と言うヤツですね。
これは噺の途中で、くすぐりえお言った後に「冗談言っちゃイケねえ」と下げを言って降りるやり方です。
ある時の寄席で続けて噺家が「冗談言っちゃイケねえ」と下げと続けたので、お客が怒って
「冗談言っちゃイケねえ」と言ったとか・・・

一席、ちゃんと出来るのがトリか仲入りの時ですね。
それでも20分前後しか無い時もあります。
こんな時噺家は、落語会で演じる時よりも短く演じます。
噺の中を抜くのですが、どこをどう抜いたかが別る様では一流とはいえませんね。
以前、扇橋師が「心眼」を7分で演じ驚きましたが、どこを抜いたか判りませんでした。

噺がクサイと評判?のさん喬師も寄席でトリの時はクサクく無いですね。
無駄なく、きちっと演じています。やれば出来るじゃん!

今日聴いてもらう、喬太郎師の「うどん屋」ですが、賞味20分ありません。
出囃子、マクラも含めて20分と言う処です。
この噺は小さん師が得意ですが、それでも30分はかかっています。
小三治師はもっとですね。
普段は喬太郎師もこの噺は30分は掛けています。
その辺をどうしてるか、お聴きください。

ちなみに「うどん屋」のあらすじを簡単に書いておきます。

江戸の夜、市中を流して歩いていた、うどん屋を呼び止めたのはしたたかに酔った男。
「仕立屋の太兵衛を知っているか?」と言い出し、うどんやが知らないと答えると、問わず語りに昼間の出来事を話し出す。

友達の太兵衛のひとり娘、みい坊が祝言を挙げた。あんなに小さかったみい坊が花嫁衣装に身を包み、立派な挨拶をしたので胸がいっぱいになった・・・。うどんやが相づちを打つのをいいことに、酔客は同じ話を繰り返すと、水だけ飲んでどこかに行ってしまう。
ただで水だけ飲まれたうどんや、気を取り直して再び町を流すと、今度は家の中から声が掛かるが、
「赤ん坊が寝たところだから静かにして」
 でかい声はだめだ、番頭さんが内緒で店の衆に御馳走してやるってんで、
ヒソヒソ声で注文するのが大口になるんだと思った矢先、
ヒソヒソ声で、鍋焼きの注文。
こりゃ当たりだなと、ヒソヒソ声で「さぁどうぞ」客が食べ終わって、勘定のときに
「うどん屋さんも風邪ひいたのかい」続きを読む