0e489c40.jpg先日、生放送中に五代目柳家小さん師匠の事が話題になりまして、
このブログを御覧頂いている方から、落語初心者向けの噺家に何故五代目 柳家小さん師匠が入っていなかったのか?
と聞かれまして、その事について書いてみたいと思います。

小さん師匠は簡単に言うと、江戸落語の権化みたいな人で、
噺の中に、虚飾や誇張をなるべく入れずに、素のままの噺でありながら、
お客を落語の世界へと誘ってくれます。
一見淡々とした噺の運びかたですが、じっくりと見ると
隅々まで神経がはりめぐらされているのが判ります。
特にしぐさは絶品で、中でもうどんや蕎麦をたぐる仕草は
他の追従を許さないと思います。
「うどん屋」で最後の方で客がうどんを食べますが、その最初に
息を吹いて冷ますしぐさがあるのですが、「ふうー」と言う息の使い方
ひとつで、聞いている我々を冬の木枯らしの吹く街角に連れていってくれます。そのうどんや蕎麦を手繰る音一つで、うどんか蕎麦か、あるいは太さ、や腰の状態まで再現してくれます。私はある時の高座で鳥肌が立って
しまいました。

私は弟子の小三治師匠も大好きですが、この点だけは小さん師匠に軍配が上がります。
また、喬太郎師匠の「時そば」で蕎麦を手繰る仕草を誉めるコメントが
多いのですが、それも柳家なればこそ、うなずけます。
但し、私の個人的な感想はまだまだだなと・・・

お席亭が、志ん生師より取っ付き難かったと発言なされていましたが、
ある意味そうだと思います。
志ん生師も初心者向けではありませんが、爆発的なくすぐりが有るだけ
楽しめる人もいると思います。(最もそこで終わってしまうと、良さが分からなくなりますが・・・)
小さん師匠はある程度江戸落語が分かってから、聞いた方が良いと思うのです。

今迄テレビ等で、若い芸人の漫才やコントを中心に見ていた人達が
初めて、小さん師匠の落語を聞いたら、すぐには面白さを理解出来るとは
思わないのです。むろん彼らの漫才やコントも面白いですが、
それらとは別の面白さだと思うのです。

まあ、だらだらと書いてしまいましたが、初めての落語が小さん師匠で、
それで落語にはまったのならば、それはその方の素養が落語向きだったと
言う事で、素晴らしい方だったと言う事でしょう。
ホントですよ!