『錦の袈裟 』
今日はこの噺です。
【原話】
原話は、安永6年(1777年)に出版された笑話本・『順会話献立』の一遍である「晴れの恥」と言う話で、
元々は『袈裟茶屋』という上方落語です。
【ストーリー】
町内のある男がとなり町の連中が吉原で、緋縮緬の長襦袢で揃いの格好を見せて遊び、
あげくに「となり町の連中には出来まい」と言った事を聞きつけてきます。
当然面白く無い訳で、何とかその上を行って、となり町の連中の鼻を明かしてヤりたい処ですねえ。
色々な案が浮かびましたがイマイチです。
誰かが、「伊勢屋の番頭が、何枚か質流れの錦の布があり『なにかの時は使っていい』と言われていた事を思い出します。
「吉原へ乗り込んでそれを褌にして裸で総踊りをしよう」
「それで行こう!」と相談はまとまりましたが、一枚足りません。
頭を数えると丁度、与太郎の分です。
仕方なく、与太郎には自分で工面させることにします。
この辺が落語の良い所ですね。決して最初から仲間はずれにしません。
与太郎は女房に相談します。
この辺が今だと笑いを生み、又理解し難い処ですが、当時は玄人相手は完全な遊びで、いわゆる「浮気」の範疇に入りませんでした。
与太郎にとっては、大事な町内の付き合いなのです。
女房も何とか送り出したいと考えて、檀那寺の住職にお願いしておいで。『褌にする』とは言えないから『親類の娘に狐が憑いて困っております。和尚さんの錦の袈裟をかけると狐が落ちる、と聞いておりますので、お貸し願います』と言って借りてきなさい」
と言いつけます。
持つべきものは良い女房ですねえ・・・え?ちがう・・・そうかな?
知恵を授けられた与太郎、寺へやってきてなんとか口上をして、一番いいのを借りることができましたが、
和尚さんから「明日、法事があって、掛ける袈裟じゃによって、朝早く返してもらいたい」と念を押される。
そこで与太郎、「しくじったら破門になっても良いですから」等と言って借りてきます。
改めて見てみると輪っかが付いていたり少し可笑しいですが、そこは何とかします。
いよいよ、みんなで吉原に繰り込んで、錦の褌一本の総踊りとなる。女たちに与太郎だけがえらい評判です。
「あの方はボーッとしているようだが、一座の殿様だよ。高貴の方の証拠は輪と房だよ。
小用を足すのに輪に引っ掛けて、そして、房で滴を払うのよ」
「他の人は家来ね。じゃ、殿様だけ大事にしましょうね」
てんで、与太郎が一人だけ大モテです。
翌朝、与太郎がなかなか起きてこないので連中が起こしに行くと、まだ女と寝ている。
与太郎「みんなが呼びにきたから帰るよ」
女「いいえ、主は今朝は返しません」
与太郎「袈裟は返さない…? ああ、お寺をしくじる」
【演者】
この噺は、かっては故志ん朝師を始め、小三治や故文朝師、先代柳朝師等そうそうたる噺家さんが演じています。今では若手からベテランまで演じていますね。
【注目点】
いつ頃東京に来たのかはわかりませんが、初代小せん師が現在の型を作り上げたそうです。
上方の「袈裟茶屋」は主人公が幇間でかなり展開が違います。
東京みたいに町内の集団と言う事はありません、幇間三人の噺となっています。
袈裟を芸妓(げいこ=芸者)に取られそうになって、幇間が便所に逃げ出すという噺となっています。
『ネタ』
袈裟と言うのはお坊さんが着ている法衣の事で位で色や材質が変わるそうです。
良くお正月などにお寺に参拝した時に御札などを頼むと、大勢のお坊さんが出て来て炊きあげてくれますが、その時のお坊さんの袈裟が色々変わっていますね。
今日はこの噺です。
【原話】
原話は、安永6年(1777年)に出版された笑話本・『順会話献立』の一遍である「晴れの恥」と言う話で、
元々は『袈裟茶屋』という上方落語です。
【ストーリー】
町内のある男がとなり町の連中が吉原で、緋縮緬の長襦袢で揃いの格好を見せて遊び、
あげくに「となり町の連中には出来まい」と言った事を聞きつけてきます。
当然面白く無い訳で、何とかその上を行って、となり町の連中の鼻を明かしてヤりたい処ですねえ。
色々な案が浮かびましたがイマイチです。
誰かが、「伊勢屋の番頭が、何枚か質流れの錦の布があり『なにかの時は使っていい』と言われていた事を思い出します。
「吉原へ乗り込んでそれを褌にして裸で総踊りをしよう」
「それで行こう!」と相談はまとまりましたが、一枚足りません。
頭を数えると丁度、与太郎の分です。
仕方なく、与太郎には自分で工面させることにします。
この辺が落語の良い所ですね。決して最初から仲間はずれにしません。
与太郎は女房に相談します。
この辺が今だと笑いを生み、又理解し難い処ですが、当時は玄人相手は完全な遊びで、いわゆる「浮気」の範疇に入りませんでした。
与太郎にとっては、大事な町内の付き合いなのです。
女房も何とか送り出したいと考えて、檀那寺の住職にお願いしておいで。『褌にする』とは言えないから『親類の娘に狐が憑いて困っております。和尚さんの錦の袈裟をかけると狐が落ちる、と聞いておりますので、お貸し願います』と言って借りてきなさい」
と言いつけます。
持つべきものは良い女房ですねえ・・・え?ちがう・・・そうかな?
知恵を授けられた与太郎、寺へやってきてなんとか口上をして、一番いいのを借りることができましたが、
和尚さんから「明日、法事があって、掛ける袈裟じゃによって、朝早く返してもらいたい」と念を押される。
そこで与太郎、「しくじったら破門になっても良いですから」等と言って借りてきます。
改めて見てみると輪っかが付いていたり少し可笑しいですが、そこは何とかします。
いよいよ、みんなで吉原に繰り込んで、錦の褌一本の総踊りとなる。女たちに与太郎だけがえらい評判です。
「あの方はボーッとしているようだが、一座の殿様だよ。高貴の方の証拠は輪と房だよ。
小用を足すのに輪に引っ掛けて、そして、房で滴を払うのよ」
「他の人は家来ね。じゃ、殿様だけ大事にしましょうね」
てんで、与太郎が一人だけ大モテです。
翌朝、与太郎がなかなか起きてこないので連中が起こしに行くと、まだ女と寝ている。
与太郎「みんなが呼びにきたから帰るよ」
女「いいえ、主は今朝は返しません」
与太郎「袈裟は返さない…? ああ、お寺をしくじる」
【演者】
この噺は、かっては故志ん朝師を始め、小三治や故文朝師、先代柳朝師等そうそうたる噺家さんが演じています。今では若手からベテランまで演じていますね。
【注目点】
いつ頃東京に来たのかはわかりませんが、初代小せん師が現在の型を作り上げたそうです。
上方の「袈裟茶屋」は主人公が幇間でかなり展開が違います。
東京みたいに町内の集団と言う事はありません、幇間三人の噺となっています。
袈裟を芸妓(げいこ=芸者)に取られそうになって、幇間が便所に逃げ出すという噺となっています。
『ネタ』
袈裟と言うのはお坊さんが着ている法衣の事で位で色や材質が変わるそうです。
良くお正月などにお寺に参拝した時に御札などを頼むと、大勢のお坊さんが出て来て炊きあげてくれますが、その時のお坊さんの袈裟が色々変わっていますね。