『甲府い』
今日はこの噺です。
【原話】
一説には、日蓮宗の布教の為に作られたプロパガンダ落語ではないか?と言う噺家さんもいますが、その辺は余り考えない様にしましょう。考えても仕方ないしね。それを言えば「鰍沢」や「おせつ徳三郎」も怪しいとなってしまいますね。
「小言念仏」なんてのもそうですし、きりが無いですね。それだけ江戸時代には江戸で日蓮宗が流行ったという事なのです。
【ストーリー】
ある豆腐屋の店先で無断でおからを食っている者がいます。それを見つけ、訳を聞いてみると、甲府から出てきたものの財布をスリ取られ、腹が減ってついつい食べてしまったという。
この田舎者が日蓮宗で、豆腐屋の親方夫婦も同宗のよしみで豆腐屋で働く事になります。
仕事は売り子、つまり豆腐を担いで売って歩く。その売り声が「豆腐ィー生揚げガンモドキ」となるのですが、
この家では胡麻を多くガンモドキに入れるので「豆腐ィー胡麻入りガンモドキ」と言って売る。
この伝吉が大変な働き者で主人夫婦にも気に入られ、三年後には一人娘の婿に迎えられます。
ある日、この伝吉が義父に「しばらく甲府にも帰っていないんで里帰りをしたい。それから身延山(日蓮宗の本山)へ三年の願かけをしてきたから願ほどきもしてきたいので、ついては十日ばかり暇をもらいたい」と申し出ます。
その次の日、伝吉は女房のお花と一緒に旅に出かける。これを見て驚いたのが長屋の連中。
「伝吉さん、お揃いでどちらへ」
「甲府ぃーお参りガンほどきー」
【演者】
昭和の名人では、八代目可楽師、志ん生師、柳枝師等が有名ですね。
皆聴いたことありますが、それぞれ持ち味が違うので、印象深いですね。
可楽師はしっとりした感じで、夜に一人でゆっくりと聴いていたい感じです。
志ん生師は陽気で、楽しい感じなんですよね、出来れば一日の始まりに聴いて、元気を出したいですね。
柳枝師のは、純粋にこの伝吉や豆腐屋さんの親父さんにの心情になりますね。
聴いて、”いいはなし”だったなと感じられます。
【注目点】
正直で働き者の成功談といった噺ですが、この辺がどうも・・・と疑われている様ですね。
曰く、日蓮宗に入ると、こんなに成功しますよと暗に言ってるという方もいます。
身延山は「鰍沢」にも登場する日蓮宗の総本山です。
日蓮上人が開山し、第十一世・日朝師が現在の山梨県南巨摩郡身延町に移して、ますます発展しました。
江戸には池上本門寺があるので、江戸の門徒は通常、ここに参詣すればよいとされました。
『能書』
この噺に教育的な要素が付いて回るのは、戦争中に禁演落語53種が出来ましたが、反対に良い方の落語として祀り上げられた噺もある訳で、これなんかは良い方の大関だったそうです。
まあ、軍部の”期待される人間像”だったと言う事ですね。
『ネタ』
この噺を「何処が面白いんだか判らない」とほざいてる評論家がいますが、素人ならイザ知らず、その道でお足を稼いでいる輩なんだから、それこそ「おからで顔を洗って出なおして来い」と言いたくなります。
今日はこの噺です。
【原話】
一説には、日蓮宗の布教の為に作られたプロパガンダ落語ではないか?と言う噺家さんもいますが、その辺は余り考えない様にしましょう。考えても仕方ないしね。それを言えば「鰍沢」や「おせつ徳三郎」も怪しいとなってしまいますね。
「小言念仏」なんてのもそうですし、きりが無いですね。それだけ江戸時代には江戸で日蓮宗が流行ったという事なのです。
【ストーリー】
ある豆腐屋の店先で無断でおからを食っている者がいます。それを見つけ、訳を聞いてみると、甲府から出てきたものの財布をスリ取られ、腹が減ってついつい食べてしまったという。
この田舎者が日蓮宗で、豆腐屋の親方夫婦も同宗のよしみで豆腐屋で働く事になります。
仕事は売り子、つまり豆腐を担いで売って歩く。その売り声が「豆腐ィー生揚げガンモドキ」となるのですが、
この家では胡麻を多くガンモドキに入れるので「豆腐ィー胡麻入りガンモドキ」と言って売る。
この伝吉が大変な働き者で主人夫婦にも気に入られ、三年後には一人娘の婿に迎えられます。
ある日、この伝吉が義父に「しばらく甲府にも帰っていないんで里帰りをしたい。それから身延山(日蓮宗の本山)へ三年の願かけをしてきたから願ほどきもしてきたいので、ついては十日ばかり暇をもらいたい」と申し出ます。
その次の日、伝吉は女房のお花と一緒に旅に出かける。これを見て驚いたのが長屋の連中。
「伝吉さん、お揃いでどちらへ」
「甲府ぃーお参りガンほどきー」
【演者】
昭和の名人では、八代目可楽師、志ん生師、柳枝師等が有名ですね。
皆聴いたことありますが、それぞれ持ち味が違うので、印象深いですね。
可楽師はしっとりした感じで、夜に一人でゆっくりと聴いていたい感じです。
志ん生師は陽気で、楽しい感じなんですよね、出来れば一日の始まりに聴いて、元気を出したいですね。
柳枝師のは、純粋にこの伝吉や豆腐屋さんの親父さんにの心情になりますね。
聴いて、”いいはなし”だったなと感じられます。
【注目点】
正直で働き者の成功談といった噺ですが、この辺がどうも・・・と疑われている様ですね。
曰く、日蓮宗に入ると、こんなに成功しますよと暗に言ってるという方もいます。
身延山は「鰍沢」にも登場する日蓮宗の総本山です。
日蓮上人が開山し、第十一世・日朝師が現在の山梨県南巨摩郡身延町に移して、ますます発展しました。
江戸には池上本門寺があるので、江戸の門徒は通常、ここに参詣すればよいとされました。
『能書』
この噺に教育的な要素が付いて回るのは、戦争中に禁演落語53種が出来ましたが、反対に良い方の落語として祀り上げられた噺もある訳で、これなんかは良い方の大関だったそうです。
まあ、軍部の”期待される人間像”だったと言う事ですね。
『ネタ』
この噺を「何処が面白いんだか判らない」とほざいてる評論家がいますが、素人ならイザ知らず、その道でお足を稼いでいる輩なんだから、それこそ「おからで顔を洗って出なおして来い」と言いたくなります。