toshiさんに勧められていた『なぜ「小三治」の落語は面白いか?』を読み終わりましたので、拙い感想などを書いてみたいと思います。
前半はインタビューとなっています。「週刊現代」の企画でインタビューしたものの完全版となっています。これはファンには嬉しいですね。その中でもいい言葉が沢山ありました。
例えば、内緒話をする時に、圓生師は「最初大きく声を出して段々小さくすれば、内緒話に聞こえる」と教えてくれたそうですが、師匠小さん師は「そんなものその人間の了見になれば自然と聞こえるんだ」と言ったそうです。
前者は話術について、後者は心構えについて語っていると思うのですが、どちらも納得させられます。
面白かったのは噺に対しての心構えが小三治師と志ん朝師で全く違っていたことでしたね。笑わせなければ駄目だという志ん朝師と正反対の小三治師、きっとそれはそれぞれの師匠の教えなんでしょうね。
それからインタビューで10年前と語っていましたが、GWの浅草の芝居でトリで10日間「天災」を掛けた話が出ましたが、私、その時の芝居に行っています、今でも良く覚えています。特別に悪い出来ではなかったとは思いますが、師としては満足いかなかったのでしょね。
浅草で印象使いのは、秋のトリを取った時に8時半に高座に上がって、30分はまくらでした。はちみつの話なんか中心でそれはそれで面白かったです。
「ああ、今日はまくらで終わりか、でも良かったからいいか」
そう思っていた時でした。もう9時になろうかという時刻から「小言幸兵衛」をやりだしました。いや、その出来の素晴らしい事。
終わったのはもう9時40分になろうとしてましたが、誰も途中で帰る人はいませんでした。皆椅子に磁石がついて動けなくなった感じで高座の師匠の噺に注目していました。
終わった後は割れんばかりの拍手だったことは言うまでもありません。
インタビューの後半はDVDの発売の時に広瀬さんが尋ねていたことを収録したものです。これにも色々といい話が載っています。
本の後半は発売されている90の音源や映像の演目の解説と複数発売されている演目については広瀬さんがお勧めする媒体を紹介してくれています。
この演目を見て私が生の高座やCDやTV、それにDVDなども含めて一度も聴いたことが無い演目がありました。それは「明烏」だけです。と言うより私は柳家小三治師の「明烏」は聴いた事ないです。それ以外の89演目は聴いています。
広瀬さんは噺の完成度の高さから若い時に収録されたバージョンよりも後年の熟されたバージョンを勧めています。特にDVD収録演目については、ほぼこちらを勧めています。
それに異を唱えることはしませんが、若い頃に収録されたCDなどは、まさに伸び盛りの小三治師が聴けます。今とは全く違った小三治師がCDには居るんです。
それと出囃子が鳴る寸前の緊張感も耳だけに頼っているからこその想像力を生み出します。決して劣っている訳ではありません。そんな楽しみ方もあると理解して下さい。
今日はこんなところで……続きを読む
前半はインタビューとなっています。「週刊現代」の企画でインタビューしたものの完全版となっています。これはファンには嬉しいですね。その中でもいい言葉が沢山ありました。
例えば、内緒話をする時に、圓生師は「最初大きく声を出して段々小さくすれば、内緒話に聞こえる」と教えてくれたそうですが、師匠小さん師は「そんなものその人間の了見になれば自然と聞こえるんだ」と言ったそうです。
前者は話術について、後者は心構えについて語っていると思うのですが、どちらも納得させられます。
面白かったのは噺に対しての心構えが小三治師と志ん朝師で全く違っていたことでしたね。笑わせなければ駄目だという志ん朝師と正反対の小三治師、きっとそれはそれぞれの師匠の教えなんでしょうね。
それからインタビューで10年前と語っていましたが、GWの浅草の芝居でトリで10日間「天災」を掛けた話が出ましたが、私、その時の芝居に行っています、今でも良く覚えています。特別に悪い出来ではなかったとは思いますが、師としては満足いかなかったのでしょね。
浅草で印象使いのは、秋のトリを取った時に8時半に高座に上がって、30分はまくらでした。はちみつの話なんか中心でそれはそれで面白かったです。
「ああ、今日はまくらで終わりか、でも良かったからいいか」
そう思っていた時でした。もう9時になろうかという時刻から「小言幸兵衛」をやりだしました。いや、その出来の素晴らしい事。
終わったのはもう9時40分になろうとしてましたが、誰も途中で帰る人はいませんでした。皆椅子に磁石がついて動けなくなった感じで高座の師匠の噺に注目していました。
終わった後は割れんばかりの拍手だったことは言うまでもありません。
インタビューの後半はDVDの発売の時に広瀬さんが尋ねていたことを収録したものです。これにも色々といい話が載っています。
本の後半は発売されている90の音源や映像の演目の解説と複数発売されている演目については広瀬さんがお勧めする媒体を紹介してくれています。
この演目を見て私が生の高座やCDやTV、それにDVDなども含めて一度も聴いたことが無い演目がありました。それは「明烏」だけです。と言うより私は柳家小三治師の「明烏」は聴いた事ないです。それ以外の89演目は聴いています。
広瀬さんは噺の完成度の高さから若い時に収録されたバージョンよりも後年の熟されたバージョンを勧めています。特にDVD収録演目については、ほぼこちらを勧めています。
それに異を唱えることはしませんが、若い頃に収録されたCDなどは、まさに伸び盛りの小三治師が聴けます。今とは全く違った小三治師がCDには居るんです。
それと出囃子が鳴る寸前の緊張感も耳だけに頼っているからこその想像力を生み出します。決して劣っている訳ではありません。そんな楽しみ方もあると理解して下さい。
今日はこんなところで……続きを読む