先日は「淀五郎」だったので今日は「中村仲蔵」です。
の噺は、江戸末期〜明治初期の名脇役だった三世仲蔵(1809〜85)の自伝的随筆「手前味噌」の
中に初代の苦労を描いた、ほとんど同内容の逸話があるので、それをもとにした講談が作られ、
さらに落語に仕立てたものと思われます。
芝居修行を続けて名題に昇格した中村仲蔵が、どんな大役がもらえるかと期待していると、
与えられた役は、つまらない場面なので客が食事をする弁当幕と呼ばれると、忠臣蔵五段目の端役、定九郎だった。
気落ちして上方修行に出るという仲蔵に女房が、あんたにしか出来ない定九郎を演じろって言う期待じゃないのかいと励まします。
ある日、妙見様にお詣りに行った帰りに、雨に振られ蕎麦屋に駆け込む。
そこに後から来た侍の姿に衝撃を受け、役作りの参考にします。
それから、衣装と見栄に工夫を重ね、斬新な定九郎を作り上げて演じます。
見事な演技に、観客は掛け声も忘れて、ただうなるだけだった。客席が静かなので、ウケなかったと勘違いし、また上方修行へと旅立とうとします。
途中で「昨日の定九郎を見たかい、素晴らしかった」との話を小耳に挟み、これを女房に伝えるために家に戻る。
そこで親方に呼ばれ、昨日の芝居は良かったと褒められ、褒美に煙草入れをもらって家に戻り、女房に礼を言います。
失敗したの、うまくいったのって、私しゃ煙に巻かれちまうよ。
「おお!もらったのが煙草入れ」
この中村仲蔵が、名作仮名手本忠臣蔵の五段目で斧定九郎を工夫して現在の型にしたという実録談で、
それまではつまらない役でした。
”稲荷町”から”名題”になった稀代なる名優で屋号を栄屋、俳名を秀鶴。江戸時代に、中村仲蔵ほどの出世をしたものはなく、他に幕末になって市川小団次しかないという名優であった。寛政二年(1790)4月23日死去。享年55歳。墓は谷中霊園に有ります。
仲蔵の生涯については、松井 今朝子さんの「仲蔵狂乱」に詳しく書かれています。
かなり面白い本ですので、興味のある方は一読をオススメします。
元々の話は、座頭と立作者が当時は役を決めたようで、立作者の金井三笑は芸の上での喧嘩から仲蔵に五段目の斧定九郎一役だけといういじわるしたのがそもそもの話の始まりと言う事です。
圓生師の「圓生百席」では詳しく語っていますが、その為時間が長くなってしまってます。
CDと言う自由に聴ける媒体ならではですね。
生の高座だと時間の関係で無理でしょうね。
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の噺は、江戸末期〜明治初期の名脇役だった三世仲蔵(1809〜85)の自伝的随筆「手前味噌」の
中に初代の苦労を描いた、ほとんど同内容の逸話があるので、それをもとにした講談が作られ、
さらに落語に仕立てたものと思われます。
芝居修行を続けて名題に昇格した中村仲蔵が、どんな大役がもらえるかと期待していると、
与えられた役は、つまらない場面なので客が食事をする弁当幕と呼ばれると、忠臣蔵五段目の端役、定九郎だった。
気落ちして上方修行に出るという仲蔵に女房が、あんたにしか出来ない定九郎を演じろって言う期待じゃないのかいと励まします。
ある日、妙見様にお詣りに行った帰りに、雨に振られ蕎麦屋に駆け込む。
そこに後から来た侍の姿に衝撃を受け、役作りの参考にします。
それから、衣装と見栄に工夫を重ね、斬新な定九郎を作り上げて演じます。
見事な演技に、観客は掛け声も忘れて、ただうなるだけだった。客席が静かなので、ウケなかったと勘違いし、また上方修行へと旅立とうとします。
途中で「昨日の定九郎を見たかい、素晴らしかった」との話を小耳に挟み、これを女房に伝えるために家に戻る。
そこで親方に呼ばれ、昨日の芝居は良かったと褒められ、褒美に煙草入れをもらって家に戻り、女房に礼を言います。
失敗したの、うまくいったのって、私しゃ煙に巻かれちまうよ。
「おお!もらったのが煙草入れ」
この中村仲蔵が、名作仮名手本忠臣蔵の五段目で斧定九郎を工夫して現在の型にしたという実録談で、
それまではつまらない役でした。
”稲荷町”から”名題”になった稀代なる名優で屋号を栄屋、俳名を秀鶴。江戸時代に、中村仲蔵ほどの出世をしたものはなく、他に幕末になって市川小団次しかないという名優であった。寛政二年(1790)4月23日死去。享年55歳。墓は谷中霊園に有ります。
仲蔵の生涯については、松井 今朝子さんの「仲蔵狂乱」に詳しく書かれています。
かなり面白い本ですので、興味のある方は一読をオススメします。
元々の話は、座頭と立作者が当時は役を決めたようで、立作者の金井三笑は芸の上での喧嘩から仲蔵に五段目の斧定九郎一役だけといういじわるしたのがそもそもの話の始まりと言う事です。
圓生師の「圓生百席」では詳しく語っていますが、その為時間が長くなってしまってます。
CDと言う自由に聴ける媒体ならではですね。
生の高座だと時間の関係で無理でしょうね。
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