3fa61767【位牌屋】

 今日は久しぶりにこの噺です。最近は余り聴く機会が少なくなりました。
「原話」
元は上方落語「位牌丁稚」が東京に移されたものとみられますが、詳細は不明です。
後半の、位牌を買いに行くくだりの原話は、文政7年刊行の「新作咄土産」中の「律義者」です。

前半は各地のケチの民話や小咄えお取り入れたそうです。
この噺から「しわいや」等が生まれました。

「演者」
昭和以後では、円生師や、三代目小円朝師などが演じました

「ストーリー」
 ケチでは人後に落ちない赤螺屋のだんな。子どもが生まれ、番頭の久兵衛が祝いに来ても、経費がかかるのに何がめでたいと、小言を言います。
八百屋が摘まみ菜を売りに来ると、八貫五百の値段を、八貫を負けて五百で売れと言って怒らせ、
帰ると、こぼれた菜を小僧に拾わせて味噌漉しいっぱいにしてしまい、喜ぶ始末。
芋屋が来ると、イモをただで三本も騙し取ったりという具合です。
 小僧の定吉に、注文しておいた位牌を取りに仏師屋へやります。
それも裸足で行かせ、向こうにいい下駄があったら履いて帰ってこい、と言いつけるものすごさ。その定吉が、先方で、先ほどの芋屋とのやり取りをそっくり真似をして、タバコをくすねたり、下駄を履いて帰ったり、位牌までおまけに貰って来ます。
「こんな小さな位牌、何にするんだ」
「同じオマケなら、なぜ大きいのを分捕ってこない、」
「へー、今度生まれたお坊ちゃんのになさいまし」

「ネタ」
位牌というのは亡くなった人が出た時に作る物ですから、赤ちゃんのにしなさい。とは、赤ちゃんが亡くなる事を言ってる訳で、かなり強烈なブラックユーモアですね。

「能書き」
位牌屋=仏師屋さんですが、東京では稲荷町に並んでいますね。
こう云う仏具は法事や盂蘭盆会、お彼岸等、仏教的行事の時でないと買い替えるてはイケないと言われています。こう云うのって結構大事なんですよ。
そんな事を知ってオチを考えると、少し涼しくなります。