7263a1e5『道灌』
 今回はまた噺の話に戻りたいと思います。
 それにしても雨ばかりで嫌になりますね。そこで今日はこの噺です。柳家の噺家さんが最初に教わるそうですね。

『原話』
初代林家正蔵の咄本『笑富林』(1833年刊)に原型が見られる。江戸発祥の落語です。
8代目桂文楽師匠が初めて高座で演じた噺だそうです。白梅亭という寄席だそうです。

『演者』
これは柳家の噺家さんを始め、色々な噺家さんが演じています。

『ストーリー』
八つぁんがご隠居の家に遊びに来ていて、ふと目に止まった絵を訪ねます。
 鷹狩りに出た太田持資公が、俄かの村雨に合い、雨具を借用したいと山中のあばら家を訪ねると、少女が盆の上に山吹の花を差し出した。
中村一馬が兼明親王の古歌「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだに無きぞ悲しき」で(実の)と(蓑)をかけ合わせた断りの意味でしょうと、解説すると、まだまだ自分は歌道に暗いと帰城した。
後に入道して大田道灌となり返歌をした。「急がずは濡れざらましを旅人の後より晴るる野地の村雨」
よし分かった、傘借りに来たとき雨具がねぇって歌だと勘違い。
相手がこの歌知らなかったら、その人は歌道に暗いって事だなと勝手な思い込み。
 家に帰ると、雨が降り知人が訪ねて来た。提灯を貸してくれというのを無理に雨具を貸せと言わせ、
件の歌を聞かせた。この歌知らねぇようじゃ歌道が暗いな。
「ああ、角が暗いから提灯借りに来た。」


【注目点】
五代目小さん師等はこの演目で寄席などでトリの演目に掛けていましたが、これは小さん師ならではだと思います。
私は、同じ様なので六代目圓生師が「たらちね」をトリで演じたのを聴いていますが、それは見事なものでした。
でも他の噺家さんでは駄目だったでしょうね。
前座噺を見事に演じる事が出来たら名人とも言われています。

『能書』
都電荒川線「面影橋駅」の側に掛かる「面影橋」のたもとに、「山吹の里」の碑が建っています。
この辺から下流の江戸川橋までの一帯は昔「山吹の里」と呼ばれていた所だそうです。
噺の舞台は、きっとこの辺だったのでしょうね。
現にこのあたりには、落語に登場する話しと同じ様な逸話が残っています。

『ネタ』
東京落語では、入門したての前座へのはじめての稽古を、この噺からはじめる一門が多いので、そのため代表的な前座噺といえます。寄席等でも高い確率で聴けます。
古今亭は「からぬけ」ですね。