93d8e555『三年目』
今日は今日は夫婦の情愛を美しく描いたこれです(笑

『原話』
1803年の「遊子珍問学」の「孝子経曰人之畏不可不畏」が原作と言われています。

『演者』
この演目は名人と謳われた四代目圓喬師が得意にしていたそうです。だから志ん生師や圓生師等が演じました。志ん生師は亡くなった前妻を可愛く演じてました。圓生師は可憐な感じでしたね。弟子の圓楽師もよく演じていました。

『ストーリー』
病にふせった女房が、自分が亡き後夫の再婚相手の事を思うと死に切れないというので、旦那は「生涯独身でいる、もし再婚することになったら婚礼の晩に化けて出てくればいい」と約束をする。それを聞いた女房は安心したのか、すぐに亡くなってしまう。
女房に死なれた旦那は、最初は後の生涯を独身で通そうとしたものの、周りの薦めを断りきれずついに結婚することに。婚礼の晩、待てども待てども古女房の亡霊は出てこない。そのうち1月経ち、1年経ち、、三年経ったところで、死んだ女房のお墓参りに行った日に、ついに古女房の亡霊が出てくる。
何故、既に子供も生まれている今になってやっと出て来るんだと旦那が女房の亡霊を問い詰めると、納棺のときに髪に剃刀を当てられた女房はそんな姿で旦那の前に出るのが嫌で、髪が伸びるまで待っていた。

【注目点】
『日本の怪談』(安田孝明著)にこれとは逆の様な話があり、
事故で行方不明死となって正規に埋葬されなかった若い女の幽霊が、髪が残ったままでは成仏できないと言って僧侶に剃髪を求める話があります。
昔は成仏してお釈迦さまの弟子になるので頭の毛を剃ったそうです。
今は死者に化粧等をして綺麗にして送りますね。

『能書』
上方ですとちょっと様子が違って来ます。
演題も「茶漬幽霊」となります。
 サゲが違っていて、旦那が昼食の茶漬けを食べているところに先妻の幽霊が現われ、なぜ夜に出て来ない、と問われて、「夜は怖いから」という下げになっています。こちらの方が落語的な要素は強いですね。

『ネタ』
昔は納棺のときに仏様の髪の毛を剃っていたみたいですね。これがわからないとオチもよくわかりません