0df729e0『よかちょろ』
相変わらずコロナの感染拡大が止まりませんが今は我慢なのでしょうね。
私の所にはマスクは未だ来ませんが皆さんの所は如何ですか?
 さて今日はこの噺です。

【原話】
「山崎屋」の発端を初代遊三師が改作したものと云われていますが、今では別の噺とされています。

【ストーリー】
若旦那の道楽がひどく、一昨日集金行ったきり戻らないので、旦那はカンカン。
番頭に、おまえが信用しないと余計自棄になって遊ぶからと、与田さんの掛け取りにやるように言ったのがいけないと、八つ当たりです。
今日こそみっちり小言を言うから、帰ったら必ず奥へ寄越すように、言いつけます。
そこへ帰ってきたのですが、集金したお金は全くありません。
旦那は呆れて、使い道を話してみろと言います。
若旦那は少しも騒がず、無駄な出費ではありませんと言う。
旦那は頭に来て、内訳を言ってみろといいます。
 その内訳は、まず髭剃代が五円、あとは「『よかちょろ』を四十五円で願います」
「よかちょろ」とは何だと言うと、安くてもうかるものだというので、
「ふうん、おまえはそれでも商人のせがれだ。あるなら見せなさい」
「へい。女ながらもォ、まさかのときはァ、ハッハよかちょろ、
主に代わりて玉だすきィ……しんちょろ、味見てよかちょろ、
しげちょろパッパ。これで四十五円」
 旦那は呆れ返って仕舞い、女将さんにも文句を言ってモメます。
なんだかんだと言い合いをしてといとう若旦那、勘当にあいなります。

 以前は若旦那がこれ以外の出費を並べて二百円ちょうどにしたので、旦那がケムにまかれて
「うん、してみると無駄が少しもない」とサゲていたそうです

【演者】
これは黒門町が一番ですね。あとは談志師が好んで良く演じていました。

【注目点】
 作者の遊三と言う師匠は、ユニークな方で、幕府の御家人だったのですが、戊辰戦争にはあまり熱心でなく、
もっぱら寄席通いをしていたそうです。それが高じて噺家になるのですが、親戚一同に意見されて、
今度はなんと判事になったのですが、自分が担当した事件で自分好みの女性の判決で曲がった判決を言い渡して罷免されたそうです。
それから噺家に戻り、遊三となり一門を形成したという、素晴らしい人!?です。

『ネタ』
この頃の散髪は30銭もあれば出来たそうです。