02『死神』
今、世界でコロナウイルスという死神が飛び回っているので季節的は苦しいですが取り上げてみました。



【原話】
 この噺は西洋の話を参考に圓朝師が創作した噺です。元はグリム童話の『死神の名付け親』と言われています。
また初代圓遊師が改作した「誉れの幇間」という作品もあります。三代目金馬師や小朝師などが演じています。
また、今の形は圓朝師から二代目金馬師に伝えられたのを六代目圓生師が聴き覚えて、それを自分なりに改良したものです。

【ストーリー】
お金の算段も出来ずに女房に悪態をつかれて、家を飛び出してきた男。「死んじゃおうか」と思い始めている処に、「死に方を教えてあげようか」と死神が現れた。昔からお前とは因縁があるので、金儲けの方法を教えてやる、と言う。
「死神が病人の枕元に座っていたらそいつは助からない。また、反対に足元に座っていたら助かるから、呪文を唱えて追い払え」と言い、医者になるようアドバイスを与えて消えます。
その通りやると見事に当たります。やがて名医と呼ばれ沢山の富を築きますが、贅沢三昧でお金も無くなってしまいます。
 再び医者をやるのですが、今度は上手く行きません。困っているとさる大店からご隠居の治療を頼まれた。行ってみると死神は枕元にいるが、三千両の現金に目がくらんだ男は死神が居眠りしている間に布団を半回転させ、死神が足元に来たところで呪文を唱えてたたき出してしまいます。
 大金をもらい、大喜びで家路を急ぐ男は途中で死神に捕まり大量のロウソクが揺らめく洞窟へと案内されます。
 訊くとみんな人間の寿命だという。「じゃあ俺は?」と訊く男に、死神は今にも消えそうなろうそくを指差します。曰く
「お前は金に目がくらみ、自分の寿命をご隠居に売り渡したんだ」
 ろうそくが消えればその人は死ぬ、パニックになった男は死神から渡されたロウソクに継ぎ足そうとしますが……上手く行きません。
「ほら、消える!」
「ほら早くしろ!」
「ほ〜ら……消えた!」

【演者】
 三遊派を始め柳家、古今亭など殆どの噺家さんがやっていますね。最近は喬太郎さんのが評判が良いそうです。
噺の継承としては、圓朝→二代目金馬→六代目圓生→柳家小三治(本来の死神)という本来の流れと、圓朝→鼻の圓遊→三代目金馬→春風亭小朝。(誉れの幇間)という流れがあります。

【注目点】
ここにいらっしゃる方はもう筋はご存じだと思いますが、最近は色んな噺家さんが色んなサゲを演じていますね。要はどうやって蝋燭の火を消すかなんですがね。
また、呪文も色んな言葉遊びになっていますね。下げのパターンは私はオリジナルが一番凄みがあって良いと思いますがね。
 最後の豪商が一万両出すと言うのに負けてしまうのですが、額が額ですからねえ、自分でも正直弱いですね。
 皆さんならどうします。もちろん寿命が短くなるとは知らないとしたらですが。

『ネタ』
サゲに関しては色々な噺家さんが工夫していますね。
小三治師の様に風邪のくしゃみで消してしまうもの等色々あります。
みなさんはどれが好きですか?