296a220c『二人旅』
今日は「二人旅」です。
気楽な二人連れの道中噺ですね。談志師は逃げの噺と言ってましたね。寄席で時間の無い時とかにやる噺で、何処でも切れるし、あまり力を入れなくて良い噺だと言ってました。

【原話】
1708年「かす市頓作」の「ふた道下り酒屋」が原型。尤もこれは上方落語の「煮売り屋」の元の軽口噺です。
後にも書きますが四代目柳家小さん師が東京に移したものです。

【ストーリー】
のんきな二人連れの旅人・・・
一人が腹が減って、飯にしようとしつこく言うのを、
謎かけで気をそらす。
例えば「二人で歩いていると掛けて、何と解く?」
「豚が二匹と犬っころが十匹と解く」
「その心は?」
「豚二ながらキャンとう者(二人ながら関東者)」
等とヤッてると、そのうち即興の都々逸(どどいつ)になり
「雪のだるまをくどいてみたら、何にも言わずにすぐ溶けた」
「山の上から海を眺めて桟橋から落ちて、泳ぎ知らずに焼け死んだ」
と、これもひどい代物。
ぼうっとした方が人に道を尋ねると、それが案山子だったりして、散々ぼやいて、やっととある茶店へ。
行灯(あんどん)に何か書いてある。
「一つ、せ、ん、め、し、あ、り、や、な、き、や」
「そうじゃねえ。一ぜんめしあり、やなぎ屋じゃねえか」
茶店の婆さんに酒はあるかと聞くと
「いいのがあるだよ。じきさめ、庭さめ、村さめとあるだ」
「へえっ、変わった銘だな。何だいそのじきさめってのは」
「のんだ先から直に醒めるからじきさめだ」
「それじゃ、庭さめは?」
「庭に出ると醒めるんだ」
村さめは、村外れまで行くうちに醒めるから。
まあ、少しでも保つ方がいいと「村さめ」を注文したが、肴が古いと文句を言いながらのんでみると、えらく水っぽい。
「おい、婆さん、ひでえな。水で割ってあるんだろう」
「何を言ってるだ。そんだらもったいないことはしねえ。水に酒を落としますだ」


【演者】
柳家の噺家さんを始め色々な噺家が演じていますが、最近は余り聴かないですね。
柳家のお家芸みたいな噺なのに……。

【注目点】
小さん師以前に、三代目圓馬師が「七度狐」を主人公を江戸っ子にして演じた記録があり、その時に二人が珍俳句をやりとりするくだりがあるので、その辺りもヒントになっていると思われます。

『ネタ』
上方落語の東の旅の「煮売屋」の部分を四代目柳家小さん師が東京に移したもので、東京で演じられるようになったのは、早くても大正後期以後と云われてます。
謎掛けや都々逸を入れたのは小さん師の工夫だと云われています。
これによって、元の噺の感じがかなり変わりました。
のんびりと田舎の道を歩く噺になりましたね。


※3月27日の浅草夜席の市馬師は「二人旅」でした。案山子の後の都々逸の下りで降りました。