4a77711b『突き落し』
今日は初めて取り上げる噺「突き落し」です。
(ウソでした。2011年に一度取り上げています。スイマセン。但し、タイトルが「突き落とし」でした)

【原話】
1807年の喜久亭壽暁のネタ帳「滑稽集」に「月たおす」とあります。これが元ですね。
これを初代小せん師が得意としていました。

【ストーリー】
町内の若い連中が集まって、仲へでも繰り出そうかなんて言ってますが、遊べる金など持っていません。
 すると熊さんが、タダで吉原で遊べる計画があると言います。他の連中はそれを聞いてその気になります。熊さんは
「俺を棟梁にして大見世でお前らを遊ばせるという触れ込みで仲へ繰り込む。若い衆が呼び込む小見世に上がり、一晩飲んで大騒ぎをして寝てしまう」と、計画の段取りを話します。
 熊さんは清ちゃんを羽左衛門に似ているとおだたて、重要な役割を頼む。頭をポカポカ殴られるのだが、人のいい清ちゃんは承知する。
遊ぶだけ、遊んで勘定は、となったら清ちゃんが「おかみさんから財布を与ろうとしたら、棟梁は酒を飲むと気が大きくなるから間違いがあっては大変だから、家まで取りにおいで」と言われましたと言うんだと話す。そうしたら若い衆を連れて外え出たところで連れションをするんだ。若い衆も付き合いなと言ってやってる所を後ろから突き落としてその間に逃げれば良い。と言います。一同感心して早速乗り込みます。
 全ては計画通りに進みます。そして若い衆を馬として連れて外に出ます。そして連れションをしている時に後ろから突き落します。
 作戦成功と一斉に逃げる連中ですが、清ちゃんがいない。若い衆と一緒にどぶにはまったのか、追いかけられて捕まってしまったのかと案じていると、ニコニコしながら後から駆けて来た。清ちゃんが言うのには 
「若い衆がいい煙草入れを下げていたので、惜しいと思って抜いて来た」
「うまく行ったな。次は品川でやろうか」
 と一応ここで落ちが着きますが、演者によっては
これに味をしめた連中、「つぎは品川」と調子に乗るが、そうは問屋が卸さず、しくじりとなる。と付け加える者もいます。

【演者】
戦後では六代目圓生師や五代目柳朝師や五代目小さん師、三代目三木助師が演じていました。三木助師以外の録音も残っています。

【注目点】
 評論家・飯島友治氏は「突き落とし」「居残り佐平次」「付き馬」を、「落語の三大悪人」と呼んでいますが、落語の世界の話ですからね。それほど目くじら立てなくても良いとは思います。 でも、五代目古今亭志ん生師は、この噺だけは「あんな、ひどい噺は演れないね」と言って生涯、手掛けませんでした。

『ネタ』
時代設定としては明治の終わりか大正時代に設定されているようです。
落語を取り上げるサイトやブログではこの噺を忌み嫌う方が多いようですが、個人的には嫌いな噺ではありませんので今回取り上げました。