il0040『一人酒盛り』
今日はこの噺です。秋の噺とされています。

【原話】
元々は上方落語ですが、かなり古くから東西で演じられていました。
かの圓朝師も得意にしていた様です。
圓朝師は、「被害者」の男を、後半まったく無言とし、顔つきや態度だけで高まる怒りを表現して、円朝の顔色が青くなって、真実怒っているように見えたといいます。
弟子の圓橘師も十八番にしていたそうです。

【ストーリー】
 うまい酒を貰ったから一緒に飲もうと、留さんを呼びつけたのが飲ん兵衛の熊さん。
肴は何にも要らないが、格好がつかないからと、留さんに刺し身を買わせて漬物を出させて、燗の用意までさせました。
 ちょっと一口試してみようと口を付けなが「飲み友達は沢山いるが、留さんが一番好きなんだよ、二人でじっくりやろうよ」
「そう言われると嬉しいねぇ、で旨いかい」
「飲んでる時にせっつくんじゃねぇよ、もう一本熱いのを取ってくれ」
 しゃべりながら延々と一人で飲み続けた熊さんが気分よく酔って、留さんに何か歌えというが、素面じゃ歌えねぇ。だんだんぞんざいな口になり、終いに留さんを馬鹿呼ばわり。
 とうとう留さんが一杯も飲まないうちに酒が無くなってしまった。留さんが怒って飛び出すと、近所のおかみさんが飛び込んで来て、どうしたんだい、喧嘩でもしたのかい。 
「留公なら放っときな酒癖が悪いんだから」

【演者】
何と言っても個人的には圓生師ですね。
五代目小さん師もいいですね。

【注目点】
個人的にはこの噺は「猫の災難」に似ていると思います。
あちらは、友人の居ない内に呑んで仕舞いますが、こちらは目の前で呑んでしまうので、キツイですね
それと、演者は一人で呑んでいる訳ですが、その酔って来る仕草等も自然に行わければならず、かなり技量の居る噺です。

『ネタ』
上方では桂南天師から米朝師に伝わりました。
こちらの方は、主人公は引っ越してきたばかりの独り者で、訪ねてきた友達に荷物の後片付けまですっかりやらせるという合理的な運びで、その後「一人酒盛」のくだりに入ります。
六代目松鶴師の十八番でもありました。圓生師は三代目圓橘師のが伝わったと言います。