72a50a7b仕事が繁盛期に入ってしまい更新出来ませんでした。コメントの返事も少し遅れるかも知れません。その際は申し訳ありません。そこで夏の噺の定番のこれです。

『へっつい幽霊』(竃幽霊)
今日はお化けが出て来て博打をする愉快な噺「へっつい幽霊」です。

【原話】
『かまど幽霊』という上方落語だったそうで、大正初期に3代目三遊亭圓馬師が東京に持ち込んだそうです。
6代目三遊亭圓生師や3代目桂三木助師の演じる型と古今亭や柳家の噺家さんが演じる型とあります。

【ストーリー】
道具屋にへっついを買いに来た客が、気に入って3円で買って行った。その夜の2時頃、表の大戸を激しく叩く音がする。開けると昼間へっついを買い求めた客で「買ったへっついを引き取って」という。道具屋の決まりで半値の1円50銭でなら引き取る。
それからと言うもの昼間はお客がついて買ってゆくが夜中になると引き取ってくれと言う繰り返し。
とうとうお客がつかなくなってしまった。原因を聞き出すと、夜中にへっついから幽霊が出ると言う。
困った道具屋はいくらか金をつければ売れるんじゃ無いかと思い相談をしてると、裏の長屋のはばかりでそれを聞いた熊さんが名乗り出た。家まで担いでゆくので、隣の伊勢屋の若旦那と一緒に担いで行く途中で端をぶつけて、欠いてしまい、そこから金の包が出て来る。
数えてみると300両あり山分けするが、ふたりともすぐ使ってしまう。
その夜にへっついから、くだんの幽霊が出てきて事情を説明する。
熊さんは何とか金は工面するからと、その場は幽霊をなだめる。
次の日、熊さんは若旦那の実家に行って、事情を話し300両を工面してくる・・・・

とここまで噺を持ってくるのが、圓生師や三木助師の方です。
古今亭や柳家の噺はもっと単純で、道具屋から熊さんがへっついを気に入って買って来て、その夜にすぐ幽霊が出てきます。

この後、この300両を山分けにするのですが本来が博打好きな幽霊は熊さんに両方のお金を賭けようと提案します。それに乗った熊さん。サイコロを振って見ると幽霊は丁に賭けるのですが目は半と出てしまいます。
「もう一度」と言う幽霊に熊さんは
「勘弁してもらおう。もうてめえに金がねえじゃねえか」
「親方、あっしも幽霊です。決して足だけは出しません」

【演者】
三代目三木助師、六代目圓生師、そして志ん生師と名人が演じています。

【注目点】
後半の幽霊との博打のい場面が如何に迫真の演技が出来るか、でしょうね。幽霊と博打という噺をきちんと演じられるかどうかですね。

『能書』
上方流れの圓生、三木助型か江戸風の古今亭、柳家型かですね。後者は30分以内で語れるので、寄席等でも掛けられますね。
ちなみに談志師は柳家ですが、圓生三木助型です。なぜか?(三木助師にあこがれがあるのかも)
この型も色んな事が噺の中に入ってきて面白いですが、長くなり、また力量も問われるので、トリネタでしょうね。
登場人物も増えてきますし、若旦那の遊びっぷりも描写しなくてはなりませんね。
また、全体的笑いが多いのも三木助圓生型の特徴ですね
『ネタ』
へっつい(竃)と言うのはかまどの事ですが、今やこの”かまど”も解らなくなってきましたね。
昔は持ち運びが出来るものもあったそうです。引っ越す時は持って行ったそうです。面白いですね。