00014 仕事が繁盛期に入っていましてなかなか更新が出来ません。何とか更新してみました。コメントの返事が遅れるかも知れません。その場合は申し訳ありません。
『宮戸川』
それにしても暑いですね〜 一気に夏が来た感じです。そこで、少し早いですが、夏らしい噺の「宮戸川」です。

【原話】
芝居噺が得意だった初代三遊亭円生の作といわれています。明治中期までは、初代円右師や三代目柳枝師などが、芝居噺になる後半までを通して、長講で演じることがあり、柳枝師の通しの速記も残されています。
芝居噺が廃れると、次第に後半部は忘れ去られ、今ではほとんど演じられなくなりました。

【ストーリー】
将棋で帰りが遅くなって締め出しを食った小網町の半七は、霊岸島の叔父さんのところに泊めて貰おうと思っていると、お花もカルタで遅くなり同じように閉め出されてしまいます。お花は叔父さんの所に一晩泊めて貰えないかと頼むが、早合点の叔父さんだから嫌だと断ります。
駆けだしていると、お花も直ぐ脇を走って追い越して、一緒に叔父さんの所に着きます。
飲み込みの良すぎる叔父さんは、案の定お花と半七をいい仲と勘違いして、2階に上げてしまいます。
しかたなく背中合わせで寝ることにしましたが、背中を向け合っていたのですが、折からの激しい落雷が近くに落ちたので、驚いてお花はが半七に抱きつきます。
思わず半七は理性を忘れて・・・・この先は本が破れてわかりません・・・
と現在の噺家さんは演じていますが、この先もあります。
現在、たまにしか演じられませんが、やはり芝居噺掛かりとなります。

簡単に筋を書きますと……。
翌朝、事態を完全に飲み込んだ叔父さんは二人に聴き、一緒になりたいとの事なので、
自分の兄の半七の父親に掛け合いますが、承知しません。
それならと、半七を養子にして二人を一緒にさせます。

それから四年ほどたった夏、お花が浅草へ用足しに行き、帰りに観音さまに参詣して、雷門まで来ると夕立に逢います。
傘を忘れたので定吉に傘を取りにやるのですが、その時、突然の雷鳴で、お花は気絶してしまいます。
それを見ていた、ならず者三人組、いい女なのでなぐさみものにしてやろうと、気を失ったお花をさらって、
いずこかに消えてしまいます。

女房が行方知れずになり、半七は泣く泣く葬式を出しますが、一周忌に菩提寺に参詣の帰り、
山谷堀から舟を雇うと、もう一人の酔っ払った船頭が乗せてくれと頼みこみます。
承知して、二人で船中でのんでいると、その船頭が酒の勢いで、一年前お花に酷い事をしたことを話します。
船頭もグルとわかり、ここで、と芝居掛かりになります。
「これで様子がガラリと知れた」
三人の渡りゼリフで、
「亭主というはうぬであったか」
「ハテよいところで」
「悪いところで」
「逢ったよなァ」
……というところで起こされます。
お花がそこにいるのを見て、ああ夢かと一安心。
小僧が、お内儀さんを待たせて傘を取りに帰ったと言うので、
「夢は小僧の使い(=五臓の疲れ)だわえ」
という地口オチになっています。

【演者】
この噺は多くの噺家さんが演じています。特に前半部分しか語られないことが多いので、若い噺家さんもよく演じます。逆に若さがモノを言う噺かも知れません。

【注目点】
際どい描写をどの程度まで演じるか? だと思います。明るく出来れば良いのではないでしょうか

『能書』
最近は後半も色々な噺家さんが演じるようになって来ました。NHKの「日本の話芸」で先日亡くなった三代目三遊亭圓歌師がやっています。新作派の師が演じたのは正直驚きましたが……。
後半に関しては後味の良い部分だけではありませんが、芝居噺とはどうようなものかを知るには良いと思います。

『ネタ』
宮戸川とは、墨田川の下流・浅草川の旧名で、地域でいえば山谷堀から駒形あたりまでの流域を指します。
「宮戸」は、三社権現の参道入口を流れていたことから、この名がついたとか。