airanto0614a『壺算』
 今日はこの噺です。季節的には正直判りませんw

【原話】
原話は、延享4年(1747年)に出版された笑話本「軽口瓢金苗」の一遍である「算用合て銭たらず」です。
元々は『壷算用』という上方落語で、三代目圓馬師が東京に持ってきました。
オチは後で述べる上方の型でしたが、六代目三升家小勝師が現行のように改めました。

【ストーリー】
二荷入りの水がめを買いたい主人公の吉公。
しかし、この男は「黙っていた方が利口に見える」とまで言われるドジ。
おかみさんに言われ、買い物上手と言う兄貴分の所へ協力を求めに訪れた。
 そんな吉公の頼みを、快く引き受けた兄貴分ですが、瀬戸物屋を訪れた彼が目をつけたのはなぜか半分の一荷入りの水がめでした。
このかめの値段は、本来三円と五十銭だったのだが、兄貴分は瀬戸物屋を太鼓持ちも顔負けの口調でおだて上げて五十銭値引きさせてしまいました。
 そして、何度も文句を言いかける吉公を制し、兄貴分は一荷入りを買い求めて店を出てしまいます。
吉公が「俺の買いたいのは二荷入りのかめ」と文句を言うと、兄貴分は任せておけと言いなぜか瀬戸物屋へ引き返します。

「実は手違いがあって、こいつの買いたかったのは二荷のかめなんだが、コイツが度忘れして一荷入りの水がめを買っちゃったんだ」
瀬戸物屋に二荷入りの値段を訊くと、「さっきの一荷入りが三円五十銭ですから、二荷入りは丁度倍の七円…あれ?」
さっき五十銭値引きしたせいで、結局一円の開きが出てしまったのです。
がっかりする瀬戸物屋に、さっきの一荷入りを元値の三円で下取りさせる兄貴分。
「さっきの一荷入りを下取って三円、最初に渡した三円を足して六円」と言い、二荷入りを持って出て行こうとしたその時、慌てて呼び止める瀬戸物屋。それに対して兄貴分はさっきと同じ話を繰り返します。
 何回も計算して、納得出来ない主人です。
出て行こうとすると、慌てて呼び止めます。、とうとう堪忍袋の緒が切れた風を装い、兄貴分は「算盤使って確かめてみろ!」と一喝。
言われたとおりに勘定してみると、確かに計算はあっているのだが手元を見るとやはり三円足りない。
 とうとうパニックになった主人が「一荷入りも持って行ってください」。
兄貴分が「一荷入りはいらねえんだよ」と言うと、瀬戸物屋が大きな声で一言。
「ですから、お金も返します!」

【演者】
今では広く殆どの噺家が演じます。寄席でも必ず掛かりますね。

【注目点】
「花見酒の経済学」と言うのはあっても「壺算の経済学」と言うのは無い様ですね。
当たり前かww
でもなんで、水瓶を買う噺なのに「壷算」」て云うのでしょうか「瓶算」ではないのでしょうか?
そこで調べて『能書』に書きました。

『能書』
この上方のオチの「壷算用」ですが、もともと、本当は「坪算用」という用語で、大工が坪数を見積もり損なうことという意味だったそうです。そこから、大阪で勘違いの意味となったそうです。
ですので「瓶算」じゃ駄目なんですね。
それと、江戸では「水瓶」と呼びますが、上方では「水壷」と呼んでいたそうです。
江戸と違い、水道が無かった大坂では水壷は大きいのを用意したいたそうです。
水屋さん等から水を購入していたとか……。
ですので、その様な背景を考えると本来は、江戸ではありえない噺なんですね。
そんな事も思って聞くと楽しい噺です。

『ネタ』
オリジナルの上方のサゲは、
「これは、どういう勘定だんね?」
「これがほんまの壺算用や」
 と言うものです。