365d4828『三人旅』
今日は旅の噺です。春の噺だと思うのですが……。

【原話】
上方落語の「東の旅」「西の旅」シリーズに相当する、江戸っ子の「三人旅」シリーズです。
記録的には十返舎一九の「東海道中膝栗毛」が出た後から、旅ものの滑稽噺が語られるようになったそうです。上方落語では1861年の桂松光の「風流昔噺」に「伊勢道中あわてもの三人なぐさみ参り」とあるそうです。
以前はかなり噺があった。と言われていますが、現在では「発端・神奈川」(別名 びっこ馬)と「鶴家善兵衛」
「京見物」(「東男」「三都三人絵師」「祇園祭」「およく」の4つに別れます)だけが残っています。

【ストーリー】
ある男が無尽に当たり思わぬ大金が入ったので、友達二人を誘い、伊勢参りに行く事にします。
途中で疲れて馬に乗ったら馬子さんにからかわれたり、馬子さんから頼まれた鶴屋善兵衛と言う宿に泊まったりします。
さてその晩、飯盛女の事を尋ねると女中さんが2人しか居ないといいます。
後一人何とかならないか、と云うと「居ることは居る」といいます。
「居れば良いんだよ」「でもちょっと年増ですが・・・」「年増結構!でいくつだ?」「去年米の祝いをしました」
「え〜なんだそりゃ」と思ったものの、一人だけ場所が離れだと聞き、これを源ちゃんにあてがわせ様とします。
それを知らない源ちゃんは、江戸の粋な年増と聞き、それを選んで仕舞います。
さてそれから、源ちゃんにどんな悦楽の一夜が訪れるたのか?

【演者】
明治の三代目蝶花楼馬楽師と四代目橘家円喬師が得意としたそうです。
馬楽師は行きを中山道でいくので、多少違っています。
今でも中山道での噺として演じる噺家さんもいます。
戦後では金馬師、圓生師や、小さん師が有名でした。
通常はこのあらすじの「おしくら」は小田原の噺として演じられます。

【注目点】
圓生師では三人が宿に着いた後の宿の女将さんを登場させています。その部分と宿の主が茶代の礼を言いに来るところはオリジナルだそうです。
もし今、その部分を演じていれば圓生流ということですね。

『能書』
「三人旅」の中でもこの部分は艶笑色の強い噺です。
上方落語ではこの部分を『浮かれの尼買い』という題名で演じています。

『ネタ』
「飯盛女」とは、宿屋が本業の宿泊のほかに、夜のサービスを行う、という体裁でした。
やっぱり色んなとこをおしくらするからでしょうねえ。
「おしくら」の本来の意味は中山道の熊谷宿から碓氷峠あたりまでの宿に居た飯盛り女の総称だそうです。