9b438ca8『山号寺号』
今日はこの噺です。先日寄席で市馬師が歌入で演じていました。

【原話】
かなり古い噺で、かの京都で辻噺をしていた、初代露の五郎兵衛師までさかのぼります。
最近では八代目柳枝や談志師が演じていました。
記録的には1707年の「露休置土産」の「はやるものには山号寺号」が原話です。

【ストーリー】
幇間の一八が、贔屓の若旦那に出会いました。
「若旦那どちらへ?」 
「ちょっと観音様にお参りにな。」
「浅草寺ですな」「いや観音様だ」
「若旦那、観音様とおっしゃいますが、本当は、金龍山浅草寺って言うんですよ。成田山景徳寺とかいう具合に、どこにでも山号寺号ってものがあります」
 「ほう、どこにでもあるのか? ここにもあるのなら一円のご祝儀をあげよう」
 「若旦那無茶を言っちゃいけませんや。お寺があればってことですが、せっかくだから考えましょうかね」
「車屋さん広小路ってのはどうですか? 山号寺号になってるでざんしょ」
「分かったよ、一円やるよ」
 この後、女将さん拭き掃除、乳母さん子が大事、床屋さん耳掃除、蕎麦屋さん卵とじ、と次から次と一円をせしめました。
 金がなくなった若旦那が、あたしもやってみたいね。そのお金をそっくり懐に入れて、
「一目散随徳寺」
「ああ、南無三仕損じ」

【演者】
まあ短いし長さも調整出来るのは寄席では良く掛かります。
八代目柳枝や談志師が有名ですかね。

【注目点】
このあらすじは談志師のものですが市馬師もこれでやってました。本来は成田山にお参りに行く途中で出会うのです。

『能書』
いくらでも新しいシャレが加えられるため演者によって自由自在で「看護婦さん赤十字」などと言うのもあります。
幇間の一八は涙ぐましい努力ですが、若旦那の方が一枚上手でしたね。(^^)

『ネタ』
山号寺号とは、古くからある言葉遊びの一種で、江戸で名高い医者のあだ名を「医王山薬師寺」等と洒落て遊んだのだそうです。

※昨日、芸協の噺家の三遊亭金遊師がお亡くなりになりました。急な事だったそうです。69歳とか、早いですね。師は結構、浅草でトリを取っており結構な大ネタも聴かせて頂きました。さっぱりとした淡々と語る芸風でした。
慎んでご冥福をお祈り致します。
https://news.goo.ne.jp/article/dailysports/entertainment/20190325113.html