5744bf70『締め込み』
 今日はこの噺です。季節的には不明ですが、火鉢に火が入っていて湯を沸かしてる場面から寒い時期の噺ではないかと思います。

【原話】
原話は、享和2年(1802年)に出版された笑話本・「新撰勧進話」の一遍である『末しら浪』と言う話で、上方では『盗人の仲裁』の演目で5代目桂文枝師が得意にしていました。

【ストーリー】
長屋の留守宅に泥棒が入って、風呂敷を広げて着物を包み始めたところへ、亭主が仕事から戻って来たので、泥棒は台所の床下にもぐり込んで隠れた。
 風呂敷包みを発見した亭主は、女房が間男を作って逃げようとしていると思い込み、女房が湯屋から戻ると怒鳴りつけた。
女房も負けずに、商家で奉公していた私に惚れて一緒になってくれと頼んだのはお前さんだと反撃。
 亭主が怒って、湯が沸いた鉄瓶を投げ付けたが、女房が避けたので、台所に飛んで熱湯が撒き散らされた。床下に隠れていた泥棒が堪らず「あちち」と飛び出して来た。飛び出した泥棒が、二人の言い分を聞いていたが、似合いの良い夫婦だと喧嘩の仲裁を始めた。
 泥棒に言いくるめられて、良い泥棒さんのお陰で夫婦別れせずに済んだと、
酒を出して呑み始め、夜になったので寝ることにした。
戸締まりをと思ったが、泥棒が中にいるから、外側から締めておけ。

【演者】
東京では黒門町の師匠の他、志ん生師や小さん師が得意にしていました。
印象的には柳家の噺家さんで多く聴きます。先日は三三師で聴きました。
あとは文菊師がラジオでやってましたね。

【注目点】
オチが復数あるそうです。列記してみます。
1.酒をもらった泥棒が喜び、「またちょくちょく寄らせてください」と口走り、男が返答する。
2.男が相手が泥棒であることを忘れ、「ええ、また近いうちにおいでなさい」と言ってしまう。
3.男が「そうちょいちょい来られてたまるか」とまぜ返して、噺を切るやりかた。

『能書』
江戸時代、空き巣は、戸締りのしていない家に忍び入ったと言う事なので、
ただのコソ泥とされ、情状酌量され、初犯は敲(たた)き五十程度でお目こぼしでした。
大抵は噺(出来心等)の中でも触れていましたが、町内の中で始末を付けていました。

『ネタ』
明治23年にやった4代目円生師の「締込」では、武士が雨宿りに入った家でヤカンを気に入り盗み出そうとして、夫婦げんかに巻き込まれて熱湯をかけられるという筋だったそうです。この武士はかなり素行が悪い者として描かれていたそうです。
この型は江戸独自だったそうです。