ps_aasa0004_0001_01『南瓜屋』
今日はこの噺です。

【原話】
ご存じ与太郎噺で、大阪の「みかん屋」を、四代目柳家小さん師が大正初年に東京に移植しました。
小さん師も当初は「みかん屋」でしたが、第一次落語研究会で、売り物を唐茄子に変えました。
「みかん屋」で与太郎が「今年のみかんは唐茄子のように大きい」と言うくすぐりがあり、また当時の大看板・初代三遊亭円右師が人情噺の「唐茄子屋政談」を得意にしていたこともあり、洒落で変えてみたそうです。
「みかん屋」の元は1776年の「軽口駒さらゑ」からだそうです。

【ストーリー】
 与太郎が二十歳を過ぎてもブラブラしているのはいけないと、叔父さんが商売物の天秤を貸し、南瓜を与えて売って来いと言います。
「大きいのが十三銭、小さいのが十二銭、これは元だ、売る時には上を見ろ」
「分かった上を見る」と出掛けて行きます。
袋小路で、天秤が引っ掛かって回れなくなった時に
「天秤を外して体だけ回せ」 
と注意してくれた人が出てきます。そのおかげで回れるのですが、
その人の世話で上を見ている間に全部売れたのですが、元値で売って仕舞います。 
帰ってから叔父さんに「馬鹿野郎、上を見ろとは、掛け値をしろってことだ。
掛け値ができねぇで女房子を養えねぇだろう、もう一度行って来い」
で、さっきの路地に戻ると先程の男が居ます。
「唐茄子ばっかり食っちゃいられねえ。まあ安いから、八銭のをまた三つ」
 と頼むと与太郎
「今度は十銭」
「はあ?」
掛け値の意味を教わったと聞き、
「ぼんやりだな。お前、いくつだ?」
「六十だ」
「見たとこ二十歳ぐれえだな」
「二十は元値で、四十は掛け値だ」

【演者】
やはり柳家の噺ですね。小さん一門を始め広く演じられています。

【注目点】
この噺の最大のくすぐりは「ライスカレーはシャジで食う」でしょうね。
「みかん屋」もこの噺も売ってるものが違うだけで全く同じです。
『能書』
唐茄子は当初のかぼちゃを小型化して、甘味を強くした改良品で、明和年間の頃からから出回りました。(1764〜72)
実は隠語で「かぼちや野郎」言う意味には
「安っぽい間抜け野郎」という意味があったそうです。だから与太郎がかぼちゃを売るのは洒落でもあった訳です。

『ネタ』
かぼちゃはカンボジアから来たかだとの説もありますが、どうなんでしょうね?
調べた所これは勘違いから来てるそうです。
当時のポルトガル船で運ばれて来たのですが、その船の中継地がカンボジアだったそうで
「どこから来た?」
「カンボジアから」
となったとか。これもどれほど正しいのかは判りません。