66e87013『一眼国 』
少し間が空いてしまいました。申し訳ありません。
そこで今日はこの噺です。

【原話】
1842年の「綺談新編」のほか1847年の「噺の種」の「取りに来て取られた」あたりからです。

【ストーリー】
新しいネタを探している見世物小屋の主が、全国を歩いている六部に何か珍しいものを見たことがないかと尋ねる、すると六部が言うのには、
「江戸から北へ百四五十里ほど、広い野原の真ん中の大きな榎木の近くで一つ目小僧を見たことがある」と。
その話を詳しく訊き、低調に礼を言って旅支度、早速行って見ることにします。
北へ北へ行き、主がその場所を訪ねて何とか同じ所かと思う所に行き着きます。
夕刻近くになり、一つ目の女の子を見つけて喜んで、小わきに抱えて捕まえます。
早速、江戸に連れて帰ろうと思ったら、「キャー」と叫ばれた途端に早鐘が鳴り、どこから出て来たのか、周囲を人にとり囲まれて逆に捕まってしまった。
小僧の親や役人と思しき連中を見ると、何とみんな一つ目だった。一つ目の国に迷い込んでしまったのです。
「やや、ご同役、こやつ目が二つあるよ」
「調べはあとじゃ、早速見世物小屋へ出せ」

【演者】
「一眼国」は柳家小さん系の噺で、生粋の江戸落語です。四代目小さん師が得意にしていましたが、この噺を磨き上げた八代目正蔵師は、円朝門下の最後の生き残り、一朝爺さんこと三遊一朝師からの直伝で、小さん師の型も取り入れたと語っています。
他には志ん生師も語っています。

【注目点】
不思議なな噺なので、正蔵師も志ん生師も、笑いをとるため、マクラに江戸時代の両国広小路や浅草奥山のインチキ見世物を面白おかしく説明しています。
六部 と言うのは、巡礼者で、法華経六十六部を写経し、日本全国六十六か所の霊場に各一部ずつを納めたことにその名が由来します。簡単に言うと、全国の国分寺や一宮を巡礼する行者ですね

『能書』
両国界隈には、多くの商人や見世物小屋が林立しており、インチキも多かったそうですね。人の子を食らう鬼娘とか、大ウワバミとか、いい加減なモノも多かったとか。

『ネタ』
一つ目 の伝説は日本ばかりでなく、ギリシア神話のキュクロプスをはじめ、世界各国に伝説があります。
山の神信仰が元といわれ、山神の原型である天目一箇命(あまのまのひとつのみこと)が隻眼隻足とされていたことから、こうした山にすむ妖怪が考えられたとみられます。
「化け物使い」の狸も一つ目に化けていましたね。