5df11c47『引っ越しの夢』
今日はこの噺です。別名「口入れ屋」とも言います。

【原話】
1785年の「御祓川」の「壬生の開帳」が原点です。上方落語ですね。

【ストーリー】
ある大店に、桂庵(現在の職業紹介所)から絶世の美女が女中奉公にやって来ます。
おかげで店中が大興奮。特に張り切った一番番頭の手回しでその日は早仕舞になります。
その夜、みんなが寝静まったのをみはからい、二番番頭さんが起きだして下女部屋に忍び込もうとしたのですが、
そんな事を想定していたおかみさんの一存で梯子は二階に引き上げられています。
困った二番番頭さんは、一階と二階を貫いている膳棚を梯子代わりにすることを思いついたのですが、
壊れていたのか古いせいか、手をかけた途端に棚が崩れ落ち、棚を肩で支える羽目になってしまいます。
今度は一番番頭さんが起きだしてくるのですが、やはり梯子が無いため膳棚を足掛かりにしようとし、二番番頭さんと同様に棚を担ぐ羽目になってしまいます。
しばらくして、今度は手代が起きだしてくるのですが、梯子が無いのを確認した彼は、天窓のひもを伝って二階へ上がっていくことを思いついたのですが、ぶら下がった途端に紐が切れ、手代は井戸の中へ落ちてしまいます。
皆困っていると、騒ぎを聞きつけたおかみさんが灯りを持ってやってきて、あきれます。
困った二人の番頭は、棚を担いだままタヌキ寝入りをすることにします。
おかみさん、「ふたりともそこで何をしてるの?」「へい、引っ越しの夢を見ておりました…」

【演者】
東京では圓生師もやっていましたし、小三治師や小さん師も演じていました。今では多くの噺家さんが演じています。上方ではもちろん米朝師ですね。

【注目点】
上方落語だと、口入屋で定吉が暴走する序盤や、女中の素性をおかみが質問する中盤が楽しい半面、
大ネタなので、力が無いと、最後迄持ちませんね。
上方では、古くから「口入屋」として口演されてきましたが、いつごろ伝えられたか、
江戸でも少し違った型で、幕末には高座に掛けられていたようです。

『能書』
明治以後、東京でも、上方の型をそのまま踏襲する演者と、
古い東京(江戸)風の演出をとる者とに分かれました。
前者は東京では三代目三遊亭円馬師が初演。
上方通り「口入屋」の演題を用いたのは、四代目柳家小さん師や九代目桂文治師もこちらで演じました。

『ネタ』
江戸の商習慣では3月9月に奉公人の入れ替えがあったそうです。
だからこの噺を秋の噺として演じる噺家さんもいます。