yamano_4108091658今日は「笠碁」です。

あっと云う間に寒くなってきました。朝や夜は半袖では居られませんね。
雨の降る日も多くなってきました。

原話は古く、初代露の五郎兵衛師作の笑話本で元禄4年刊「露がはなし」中の「この碁は手みせ金」です。
明治に入ると、三代目小さん師が、碁好きの緻密な心理描写と、巧妙な話芸で、十八番としました。
円朝師も、はるか後輩の小さんの芸に舌を巻き、その上手さに、もう「笠碁」は演じないと宣言したといいます。
最近では5代目小さん師や馬生(10代目)師が得意にしてました。
五代目志ん生師は、改作して碁を将棋に代え、「雨の将棋」と題して、より笑いの多いものに仕立てました。

大店の旦那が二人(小さん師は旦那と出入りの職人)、店は番頭に任せておりますので充分に暇ですね。
むしろ暇を持て余しているという贅沢な身分です。
二人とも碁が好きですが腕前の方はへぼ。碁会所などに行ってもへぼすぎて勝負になりません。
こうゆうモノは双方がほどほどに力量が合わないと面白いものではないです。
勝ったり負けたりがいいんですね。
よせば良いのに待った無しで始めたからおかしくなりまして、終いには喧嘩にまでなってしまうと言う・・・・

まあ勝負事となると男は子供になってしまうと言う事ですね。
この噺の眼目は、雨の中を店の前をいったり来たりしている相方を、店の奥で追っている旦那の目線と表情ですかね。
後は、小さん師で良いのは、最後の二人仲直りして囲碁を差し始める迄、
ほとんど旦那、は視線を上げませんね。その表情がとても良いです。
先代馬生師で聴いてください。

10代目金原亭馬生 昭和3(1928)年1月5日〜昭和57(1982)年9月13日 享年54歳 本名=美濃部清
1949年に十代目金原亭馬生を襲名 志ん生師の長男、志ん朝師の兄