111103_2-164bb今日は「しわい屋」です。

落語「位牌屋」の冒頭部分が独立して出来た噺です。
サゲの部分は1776年の「夕涼新話集」の「金もち」です。

ある吝嗇家の処にこれまたケチな男がケチの極意を教わりにやってきます。
まず扇子の使い方から始まって、ご飯のおかず梅干しを食べていると聞くと
それは勿体無い、私なら見ていて酸っぱい唾液が口に一杯になったら、そこでご飯を食べる。
梅干しは減らない。
醤油を箸ですくって挟んで口に持っていく。醤油の香りでご飯を食べる。だのろくなのはありません。

本当の極意、秘伝を教えてくれと言われて、それならと裏庭に連れ出します。
大きな木があり、その木に掛かってる梯子を登る様に言います。
登り木にぶら下がると梯子を外して仕舞います。
「左の手」を離す様に言います。
言われた通りにすると、右も離すように言います。
「冗談じゃない、これを離したら死んじゃう!」
「だから、一旦握ったものは離しちゃいけない」

この他にもいわゆるケチの小咄を寄せ集めた噺ですので、
色々なパターンがある様です。
天井から大きな石をぶる下げて、その下で暮らすと、ハラハラの連続で汗をかくので着物が要らないだの、
色々あります。
上方では「始末の極意」とも言います。

サゲがもう一つあり、帰ろうとすると、部屋が暗くて足元が解らない。吝嗇家にマッチを借りようとすると、「目と目の間を殴るんだ。火花で明るく見えるうちに下駄を探せ」との返事。そんな事はとうに見越していた男、「だと思って裸足で来た」と言うと、吝嗇家が「だと思って、部屋中の畳を裏返しにしておいた」

十代目 金原亭馬生 昭和3〜昭和57 享年54 出囃子=鞍馬
5代目志ん生長男 本名=美濃部清