100228_2今日はいよいよ年も暮れて来ましたのでこの噺「掛取万歳」です。
ものの本によりますと、初代林家蘭玉師の作と記載されていまして、その後2代目桂蘭玉師が大きくアレンジし、
現在の形に近い物になったそうです。
最も最近は演者の得意な芸を入れて演じられていて演題も単に「掛取り」と表記される事が多いです。

八五郎の家は大晦日だというのにお金がありません。そのことで女房と喧嘩になりそうなので、
困った八五郎は借金取りの好きな趣味で断りをしてやろうと思いつきます。

狂歌マニアの大家相手には「貧乏をすれど我が家に風情あり、質の流れに借金の山」などの狂歌を並べ、
最後は歌舞伎の菅原伝授手習鑑のパロディに持ち込んで返済の延期を約束させてしまいます。

魚屋の金公には、喧嘩っ早い相手の性格を利用。「借金をとるまで梃子でも動かない!」と言ったのを逆手に取り、「金が入るまで、そこに何十年でも座っていろ!!」とやり返して結局借金を棒引きにさせてしまう事に。

芝居好きの酒屋の番頭には、番頭を仮名手本忠臣蔵の上使に見立てて招きいれ、近江八景の駄洒落で言い訳した後芝居がかりで追い払ってしまうと言う離れ業。

三河屋の旦那には、旦那を三河万歳の「才蔵」に見立て、萬才の調子で「待っちゃろか。待っちやろか。待っちゃろかと申さあば。ひと月ならひと月目、二月なら二月目、こけら〜じゃどうだんべえ。」「なかなか、そんなことじゃあ〜勘定なんかできねぇ」「できなけれぇば、待っちゃろか」の掛け合いに持ち込み、最後には呆れた旦那が「ならばいつ払えるんだ」と問うと、「ああら、ひゃーく万年もォ、過ぎたなら(払います)」

元は上方落語ですが、上方では「掛け取り」または「天下一浮かれの掛け取り」という題で演じられます。
ちなみに、初期の型では八五郎が自宅内に篭城してしまい、困った掛取りが隣の主人に「火事だ」と叫んで追い出してくれと頼むが、八五郎が窓から五十銭出して「これで火を消してくれ」とやり返してしまうと言う落ちが使われていたそうです。

昔は掛売りですから、大晦日に払わなくてはならず、まとまったお金が必要でした。
そのお金が無い!と言うのですから一大事な訳です。
三代目金馬師は払いを節分まで延ばし、演題も「節分」と言う題で演じていました。

落語協会副会長の柳亭市馬師は得意な歌で、それも三橋美智也さんのファンと言う人を登場させて、噺の中で思う存分歌っています。
とにかく芸達者な演者に掛かると、この上なく楽しい噺です。
音源は圓生師でちゃんと万歳までやってます。

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