小鍋豚2-1今日は「鍋草履」と言う噺です。

芝居茶屋の若い衆が誂えの鍋を梯子段の下へ置き、幕が閉まるのを待っていたが、
舞台で上演中で出入り止めになっていて、客のところへ鍋を持って行く事ができない、仕方なくその幕が終わるまで芝居見物を決め込みます。
ところが、そこへ降りて来た客が、鍋へ足を突っ込んでしまいます。
「知らぬが仏、見ぬもの清」だから、そのまま食べさせてしまえと言われ、そのまま持って行ってしまいます。

お客は遅いとイライラしながら待っています。そこへ持ってきたので、早速食べる事にします。
中身はと見ると、崩し豆腐に崩し魚と変わってるが中々のいい味。
食べ進むに連れて、何やら硬いものがあります。
そこへ、先ほどの男がやってきます。若い衆が何事かと聞くと「鍋の中の草履を取りに来た」

この噺は、初代圓右師の録音が残されていますが、長らくやり手がなかった噺を、現芸協会長の歌丸師が復活させた噺です。今では歌丸一門はもとより、芸協の若手も演目に掛けます。

当時の芝居見物は飲み食いしながらの見物で、注目の場面になると真剣に見物するというスタイルだったそうです。
その為、薄暗い場内で見栄をはる顔を良く見るため、顔を照らす黒子さんもいました。
そういう時等に掛け声が掛かったようです。
ですから、中村仲蔵等は、一発決めたのに、シーンとしてる場内をみて、「やりそこなった」と感じたのでしょう。

この噺は、芝居茶屋の若い衆が止められてるので、忠臣蔵の四段目あたりでしょうか?


音源は歌丸師で・・・