raccoon_a03今日は「たぬき」です。
普通は「狸札」「狸賽」「狸鯉」の3っつの噺があります。これを総称して「たぬき」と呼びますが、高座ではこのうちのどれか一つしか演じません。
談志師が「ひとり会」で「狸札」から「狸賽」「鯉鯉」に入り演じた事があります。

子供たちが子狸を捕まえて苛めているのを見かけた男が、狸を買い取り逃がしてやりました。
 夜中にその狸が訪ねて来て、お世話になったらきちんと恩返しをするように、親狸から言われたという。
夜も遅いので明日にしようということで一晩寝ました。
 翌日どんな恩返しが出来るか相談した結果、五円札に化けて、借金取りに渡して清算することになりました。
狸が化けた五円札を見ていると、逆さにすると頭に血が上ぼる、折り畳むと腹が押されて小便が出るとか文句を言う。
 借金取りが来て四円三十銭の借金に五円札を払うと、お釣りを渡そうとするが、釣りまで騙し取っちゃ気の毒だと、釣りは要らないと断りました。
 無事に逃げて来るか心配しているところへ、狸が戻って来ました。小さく四つに畳まれたので苦しくなって、
財布の中に小便をして財布を食い破ったといいます。
「ついでに、財布の中に、十円札があったのでくわえて来ました」
「札が札を咥えてきちゃいけねえ・・・」
これが「狸札」です。
この後半を変えて「狸賽」と「狸鯉」に変えます。

「狸賽」は賽子に化けて貰い博打で儲けようとしますが。始めは上手くいっていたのですが、怪しまれて、賽の数を言えなくなります。
そこで五の事を「梅鉢の紋」と教えますが、狸は梅鉢の意味が判らず天神様に化けて出てきます。

狸鯉」は、鯉に化けさせて親分の家へ持って行くが、包丁で切られそうになった狸は慌てて逃げ出すと言うオチです。。

原話は宝暦13年(1763)刊の笑話本「軽口太平楽」中の「狸」です。
それぞれ、狸が恩返しに来るという発端は共通していて、
化けて失敗するものが違うだけですね。
他にはあまり演じられませんが「狸の釜」と言う噺もあります。
これは、釜に化けて和尚に売られた狸が火にかけられて逃げ出し、小坊主があれは狸だったと報告すると、
「道理で半金かたられた」
「包んだ風呂敷が八丈でございます」
とサゲるもので、ぶんぶく茶釜伝説のパロディですが、狸の睾丸が八畳敷きというのと、
布地の八丈縞を掛けたものと言うサゲのせいか、今はあまり演じられません。

でもこんな噺、ほのぼのとして良いですよね(^^)
動画は、小さん師で「狸札」の部分を聴いて下さい。